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2020 年度 実績報告書

尻の下のイメージ:ドイツにおける聖職者席下部彫刻ミゼリコルディアの総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00182
研究機関山形大学

研究代表者

元木 幸一  山形大学, 人文社会科学部, 名誉教授 (10125669)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードミゼリコルディア / 聖職者席 / 内陣席 / グリーンマン / 阿呆仮面 / イェルク・ジュルリン / ウルム・ミュンスター / 肘掛け
研究実績の概要

(1)前年度にドイツの諸教会を実地調査した結果として、2020年度はハルツ地方アインベックの聖アレクサンドリ聖堂内陣席の特徴を分析した。この聖堂内陣席には1288年という年記があり、それはドイツにおける最古の年記を持つ内陣席である。その内陣席ミゼリコルディアの顕著な特徴は「葉状仮面」であり、それはグリーンマンと呼ばれる。森の生命力の象徴なのである。ハルツ地方は魔女たちの宴が開催される場所とされてきた。この内陣席を依頼したハインリヒ驚嘆公は、ハルツ山地の魔物を払う魔除けとしてグリーンマンを聖堂内陣の座席下に設置しようとしたと推測される。その成果を2020年9月発行の『山形大学大学院社会文化システム研究科紀要』第17号に論文として公表した。
(2)最終年度のまとめとして3年間に研究した4地方の内陣席を比較検討し、その成果を研究報告書として印刷公表した。4地方とはアインベックを中心とするハルツ地方、マクデブルクを中心とするエルベ川流域、エッメリヒを中心とする低ライン地方、ウルムを中心としたシュヴァーベン地方である。
ミゼリコルディアに特徴的なモティーフは仮面だが、13世紀から14世紀のハルツ地方や、ケルン、マクデブルクなどではグリーンマンの仮面が目立つ。ところが15世紀後半のエッメリヒなど低ライン地方のミゼリコルディアではほとんど仮面モティーフが見られない。そして15世紀後半から16世紀初期にかけてのシュヴァーベン地方ではロバ耳の帽子をかぶる阿呆仮面が頻出するのである。これは中世末期に流行した滑稽文学と共通する大衆的モティーフである。このように仮面モティーフの変遷を13~16世紀の3世紀半にわたって考察したのは大きな成果である。
さらに内陣全体では、高所に聖書的モティーフ、下部には世俗的モティーフが表現されることが多いことを発見した。この内陣の構造分析も新しい総合的知見といえる。

備考

アインベック聖アレクサンドリ聖堂内陣席装飾に関する論文。作者、注文主、ミゼリコルディアなどの総合的研究。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 尻の下のイメージ:ドイツにおける聖職者下部彫刻ミゼリコルディアの総合的研究2021

    • 著者名/発表者名
      元木幸一
    • 雑誌名

      学術研究助成基金助成金基盤研究(C)(一般)研究成果報告書

      巻: なし ページ: 1-44

  • [雑誌論文] グリーンマンの森-アインベックの聖アレクサンドリ聖堂内陣席装飾をめぐって-2020

    • 著者名/発表者名
      元木幸一
    • 雑誌名

      山形大学大学院社会文化システム研究科紀要

      巻: 17 ページ: 19-40

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [備考] グリーンマンの森-アインベックの聖アレクサンドリ聖堂内陣席装飾をめぐって-

    • URL

      www-hs.yamagata-u.ac.jp

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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