研究課題/領域番号 |
18K00183
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
清水 恵美子 茨城大学, 全学教育機構, 准教授 (20531734)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 新納忠之介 / 岡倉覚三 / 岡倉天心 / 文化財保護 / 仏教美術 / 日本美術院 / 美術交流 |
研究実績の概要 |
1.茨城県天心記念五浦美術館所蔵「新納忠之介旧蔵資料」(以下「新納資料」)の調査を実施した。「新納資料」は、新納が携わった業績に関する書簡、葉書、写真、調査文書、図面、雑多な事務文書など様々な形態の資料で構成され、新納の業績の多様性、重要性を物語っている。平成30年度は、ボストン美術館に関する書簡から、新納のボストン美術館およびアメリカでの動向を明らかにするとともに、明治43年イギリス、フランス、ベルギー、オランダ、イタリア、エジプトを歴遊した時の手帳やスケッチブックから、現地での美術体験や人的交流の把握を試みた。平成31年度は、戦後のウォーナー来日時の文化財被害状況調査に関する書簡や写真類について調査し、終戦直後の日本の文化財保護における新納の役割を考察する。 2.資料の整理、写真撮影、データ保存、翻訳、翻刻、解読、内容の分析を行った。平成30年度は、岡倉覚三のボストン勤務時代における新納の活動に焦点をあて、彼の(1)国際社会における活動、(2)国際的なネットワークの実態、(3)海外における体験について明らかにすることを目指した。資料の分析は平成31年度も継続し、(4)戦後の文化財被害状況調査における役割を検討する。 3.新納の文化財保護活動に大きな影響を与えた岡倉覚三の思想と仏教との関係についてインドで開催された国際会議で報告した。また岡倉が訪れたインドの仏教遺跡を視察し、現地で研究者のレクチャーを受けることで、日本美術院第二部が文化財保護の主たる対象とした仏教美術に関する知見を深めた。 4.資料整理と活字による資料紹介などを通して明らかになった新納の業績を、申請者の所属する学会(日本比較文学会)において口頭報告する準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定通り、茨城県天心記念五浦美術館所蔵「新納資料」のうちボストン美術館に関する資料の調査を実施し、明治43年欧州、エジプト歴遊に関する資料の分析を着手した。 さらに、その成果をもとに申請者の所属する学会(日本比較文学会)において口頭報告する準備を行った。 加えて、新納の文化財保護活動に大きな影響を与えた岡倉覚三の思想と仏教との関係についてインドで開催された国際会議で報告した。また、岡倉が訪れたインドの仏教遺跡を視察し、現地で研究者のレクチャーを受けることで、日本美術院第二部が文化財保護の主たる対象とした仏教美術に関する知見を深めた。
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今後の研究の推進方策 |
1.新納忠之介の欧州歴遊、および大英博物館の依頼による百済観音立像模造制作などについて、現地の学芸員と連絡をとり、情報を交換しながら関連資料を調査する必要がある。今年度は明治43年の欧州歴遊の実態を調査するため、渡欧して関連施設を調査する。 2.「新納資料」や今後の調査で得た資料の翻刻・翻訳を行い、内容を精査し分析する。その成果を活字化し、社会に発信する。具体的には『五浦論叢:茨城大学五浦美術文化研究所紀要』に発表し、研究成果を茨城県天心記念五浦美術館と共有する。翻刻や翻訳に時間を要し、計画通りに進まない場合、古文書解読や翻訳業務に従事する者に校閲や翻訳を委託する。 3.資料整理と活字による資料紹介などを通して明らかになった新納の業績を、申請者の所属する学会(日本比較文学会など)において口頭報告し、論文投稿の準備をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は資料調査における翻訳校閲は法人への委託としたため、経費を抑えることができた。平成31年度における翻訳校閲のために使用する予定である。
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