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2020 年度 実施状況報告書

ムダルニズマ絵画研究 ―ルシニョルとカザスを中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 18K00194
研究機関昭和女子大学

研究代表者

木下 亮  昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (60195328)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードバルセロナ / ムダルニズマ / ルシニョル / カザス / ピカソ
研究実績の概要

令和2年(2020年)度は、『スペイン・ラテンアメリカ美術史研究』21号(17‐23頁、2020年4月刊)に「「ピカソとバルセロナ」と研究動向について」と題する論考を寄せた。これは2019年12月7日に国立西洋美術館で開催されたシンポジウム「ピカソとバルセロナ」で、申請者がおこなった「趣旨説明」に新たな考察を加え、先行研究の紹介と註と付して大幅に加筆したものである。
本論では、最初にイギリス出身の研究者リチャードソンが冠した「神童ピカソ」と、バルセロナ出身の研究者パウラ・イ・ファブラのピカソ観の違いについて触れた。続いてピカソが美術教育を受けたバルセロナの美術学校ラ・リョッジャ、美術協会や公募展、さらに画家の褒賞について検証した。さらに当時のバルセロナにおける作品展示の場について検討し、まだ少年だったピカソが応募した地元の美術・産業美術展とマドリードの全国美術展について概要を述べ、バルセロナの画廊の活動についても言及した。最後に、ピカソが影響を受けたムダルニズマの年長の画家ルシニョルやカザスが当時のバルセロナの美術界でどのような立場にいたのか、また、ムダルニズマの画家たちの出会いの場であったカフェ「四匹の猫」でのグループ展や個展がどのようなものであったのかについて論じた。引用・参照した文献資料は2019年9月と12月にカタルーニャ図書館とマドリードの国立図書館で収集したものである。
本論は、これまで日本であまり触れられることがなかったバルセロナ時代のピカソに焦点を当て、申請者の科研のテーマであるムダルニズマの画家たちと若いピカソを取り巻く美術環境について実証的かつ多角的に考察を試みるものとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2020年度は夏季も春季も新型コロナ感染拡大のため、バルセロナでの作品調査や文献資料の収集、研究者との意見交換などをおこなうことができなかった。したがって研究活動は文献の講読とインターネットによる資料閲覧に限られ、当初計画していたようにルシニョルやカザスらの画廊サラ・パレースでのグループ展について考察を進めることができなかった。
しかし2020年度後半は、ムダルニズマの美術動向に関連するテーマとして、1888年にバルセロナで開催された万国博覧会についてインターネットで資料を集めながら研究を進め、その知見を小論にまとめた。本論は2021年5月に『美術フォーラム21』43号に掲載される予定である。

今後の研究の推進方策

2021年度は、1890年から1903年までの期間に焦点をあてルシニョルとカザスの芸術活動、とりわけシッジャスでのムダルニズマ芸術祭と「四匹の猫」での集い、さらに作品発表の方法とそれに対する美術批評を検証し、ムダルニズマの画家についての同時代の評価について総合的にまとめていきたい。
そのために9月の夏季休暇中にバルセロナでの調査がおこなえるかどうかを見極めて、研究の実施計画を立てたい。もし渡航が可能となったならば、事前にバルセロナの美術史研究者や、カタルーニャ美術館の学芸員アドゥアール・バジェス氏とコンタクトを取り、滞在中に効率のいい作品調査が実施できるよう準備したい。またルシニョル作品に関しては、シッジャスのカン・ファラット美術館でも調査ができるよう計画を進める。
新型コロナ感染拡大が収まらない場合は、代替の研究計画を立てて、これまで集めた文献資料中心として、日本でこれまでの調査研究をまとめていくほかないと考えている。

次年度使用額が生じた理由

2020年9月に予定していたバルセロナにおける現地調査が、新型コロナ感染拡大のため実施できなかったため、助成金の使用額は0となった。
次年度は、ワクチン接種の効果があらわれて、夏季もしくはその後の時期にスペインへの渡航が可能となり、バルセロナで作品調査ならびに文献資料の収集ができるものと期待したい。バルセロナでの調査が困難と判断された場合は、文献資料の収集を計画的に実施したい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] 「ピカソとバルセロナ」と研究動向について ―「趣旨説明」に代えて―2020

    • 著者名/発表者名
      木下亮
    • 雑誌名

      スペイン・ラテンアメリカ美術史研究

      巻: 21 ページ: 17-23

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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