チェコ・アヴァンギャルドの遺産のなかで、国際的に認知度が高く、評価されている分野は、今やブックデザインであるといっても過言ではない。アヴァンギャルド文学の書籍は、アヴァンギャルド美術の依り代ともなり、構成主義、機能主義、シュルレアリスムなどの芸術潮流を反映していた。 それ故、従来のほとんどの研究は、それらの〈イズム〉と関連づけつつ、美術史の観点から行われてきた。本研究においては、情報デザインの先駆者ストナルや、地方で活動したロスマンのような、従来の研究では等閑視されがちであった画家ではないプロフェッショナルなデザイナーたちをチェコ・ブックデザインの歴史の中に正当に位置づけることを目指した。
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