研究課題/領域番号 |
18K00222
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研究機関 | 金城大学 |
研究代表者 |
中 磯子 金城大学, 社会福祉学部, 教授 (20441339)
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研究分担者 |
高橋 秀典 岐阜市立女子短期大学, その他部局等, 教授 (40379409)
河野 光伸 金城大学, 医療健康学部, 教授 (70269512)
酒野 直樹 金城大学, 医療健康学部, 講師 (10566102)
川口 朋子 金城大学, 医療健康学部, 助教 (90711656)
吉武 将司 金城大学, 医療健康学部, 助手 (60761319)
枝村 美夏 金城大学, 社会福祉学部, 助教 (50810941)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 音楽療法 / 高齢者 / 二重課題 / 認知症予防 |
研究実績の概要 |
2018年に高齢者30名に対して歌唱と歩行運動の二重課題を行い、その前後で認知機能(MMSE)、心的気分(日本語版POMS2短縮版)、自律神経機能(HFおよびLF/HF)の変化を調べた。その結果、認知機能には変化が見られなかったが、自律神経機能と主観的な気分に変化が見られた。自律神経機能では交感神経活動(LF/HF)が減少し、副交感神経活動(HF)が増加した。主観的な気分では、うつ、疲労・無気力、不安・緊張に改善がみられた。 2019年度は、高齢者25名に対して、対照として歌のみの単一課題を行い、その前後で認知機能(MMSE・ファイブコグ検査の一部)、自律神経活動(HFおよびLF/HF)、主観的な気分(日本語版POMS2短縮版)を測定した。どちらの介入でも認知機能においてMMSEおよびファイブコグ検査の一部、自律神経活動において副交感神経活動・交感神経活動(HF・LF/HF)に変化はなかった。しかしながら、主観的な気分においてPOMS2では、友好の気分のみに改善がみられた。 2018年と2019年の結果を合わせると、歌と歩行の二重課題の方が歌のみの単一課題よりも改善した気分の種類が多いという結果であった。歌そのものが体の動きを引き出す可能性もありこの結果は妥当な範囲にあると考える。二重課題そのものは認知症予防に効果があるとされているが、歌と歩行という二重課題は、抑うつなどの多くの気分の改善が示唆されたことを受けて、老人性のうつ傾向の方など、認知症予防の一助となる可能性を示した。一般に二重課題は難しいとされるが、音楽を含む二重課題は心的負担が少なく、汎用が期待できる。今後は、音楽を含まない歩行との二重課題の調査を行い、音楽を含む歩行二重課題が心的に負担が少ないことを明らかにしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査にご協力いただける施設様が順調に得られたことと、測定する人員も確保が進んだことにより、研究が計画通りに進んでおり、ご協力に感謝したい。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、臨床研究につき新型コロナウイルスの影響が心配されるが、計算と歩行の二重課題について介入を行い、その前後で認知機能および自律神経機能、主観的な気分について調べる計画である。2018年および2019年の結果を合わせ、心的負担の少ない二重課題について言及できる試みを行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末(2020年2~3月)に予定していた研究活動が、新型コロナウイルスの影響により、実行できなかったため、調査に要する旅費が未執行の状態となったので現状の年度決算の結果となった。 2020年度は究活動のための旅費の支出、検査用紙および自律神経測定のための電極などの消耗品を購入予する計画である。結果を学会発表するための旅費も計上したい。
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