研究課題/領域番号 |
18K00226
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研究機関 | 大分県立芸術文化短期大学 |
研究代表者 |
山口 祥平 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (60376910)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アートマネジメント / 現代美術 / 国際美術展 |
研究実績の概要 |
本年度も新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、当初予定していたドイツでの現地調査を中止し、国内での文献調査にあたった。前年度より、ドクメンタの運営システムの考察に向けて、展覧会の企画運営において中心的な役割を果たす芸術監督の職能に関して調査している。具体的には、1955年の展覧会創設期からドクメンタが初めて外部より芸術監督を招聘するようになる1972年の第5回展までの期間における創設者アーノルド・ボーデの業務内容を対象とし、当時の展覧会カタログならびに直近の研究成果を踏まえて、ボーデが担った芸術監督の職能がどのように外部の芸術監督に受け継がれ、また変化しているか、その変遷を確認している。ボーデならびに後代の芸術監督に対する実績評価に関しては、依然、現地のアーカイヴ調査を必須とするが、近年、発表されている関連文献から芸術監督の活動に関する概略を確認できるようになった。 本研究を通して、ドクメンタ発足当初から現在まで継承される芸術監督の職能モデルを抽出し、国際美術展運営における当該役職の機能を再考する。しかし、直近開催予定のドクメンタ15ではインドネシアのアーティストグループ「ルアンルパ」が芸術監督に就任し、従来とは異なる運営システムを採用している。当該の運営システムを採用する背景としては、従来の芸術監督制の課題もあったと想定される。今後は、ドクメンタが抱える芸術監督の課題についても現地ヒアリングなどを通して調査を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの感染拡大期にありながら、現地調査の機会を伺っていたが、最終的には研究期間を再度延長することとなった。現地調査を実施できなかったが、2021年度においては国際美術展やドクメンタに関する文献が相次いで出版されたため、本研究課題である国際美術展の運営システムについて重要な知見を得られる時期となった。とりわけ、ドクメンタの芸術監督に関しては、創設者のアーノルド・ボーデや第5回展の芸術監督ハラルド・ゼーマンに関する文献が発刊されたため、本研究においても有益な知見を得られることとなった。上記の理由により「概ね順調に進展している」と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後においては引き続き現地調査の実施を予定している。世界的に新型コロナウィルスのワクチン接種も進行し、ドイツでも入国制限の緩和が進んでいる。現状の制限状況下が続けば、2022年度の現地調査は可能と考えられる。今後、さらに感染の拡大も想定されるため、時機を見て慎重に調査を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大が継続しているため、本年度に予定していたドイツ・カッセルでの現地調査が延期となった。そのため、旅費を中心に次年度使用額が生じている。次年度においても、ドイツならびに日本国内で感染が収束し次第、現地調査の早期実施を予定している。
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