研究課題/領域番号 |
18K00229
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
石田 美紀 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (70425007)
|
研究分担者 |
Kim JoonYang 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (00749955)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 音声の現地化 / 女性が演じる少年役 / 韓国における声優文化 / 台湾における声優文化 / 日本における声優文化 |
研究実績の概要 |
2020年度も新型コロナ感染が拡大したため、2019年度後期に予定していた台湾での調査を断念せざるを得ず、研究代表者の石田美紀、研究分担者のキム・ジュニアンはともに、日本国内にて文献調査を行った。 石田は2018年度の韓国での調査結果と2019年度前期のシンガポールでの調査結果を、日本のアニメの特徴のひとつである女性声優が少年役を演じる配役を生み出した諸制度から再考し、日本および東アジア・東南アジアにおけるアニメの社会的位置づけを比較分析した。その成果を、石田美紀『アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのか』(青弓社、2020年12月刊行)の一部として発表した。 2021年3月6日、3月7日は、石田とキムは、国際コンファランス「アニメ研究を切り開く:声とアーカイブ」(https://www.arc.niigata-u.ac.jp/news/1766/)を企画・開催した。石田は、ラウンドテーブル「声」(3月6日)において「音声の現地化から考察する90年代アニメの 東・東南アジアにおける受容」を発表し、同ラウンドテーブルの出席者である韓国声優文化研究者の宣政佑と台湾アニメソング研究者の蔡錦佳とともに、議論をおこなった。その結果、石田は女性声優が少年役を演じる配役が、韓国と台湾においても共有されていることを確認し、日本のアニメ産業と関わりが関係していることが明らかになった。キムはサイトのデザイン構築から、発表者との交渉、当日のフロアマスターを務めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度も、新型コロナ感染拡大のため、国外調査は断念せざるをえなかった。しかし、国際コンファランス「アニメ研究を切り開く:声とアーカイブ」における「ラウンドテーブル:声」の討議によって、韓国、台湾、そして日本の声優の配役、そしてアニメソングという、アニメにおける音声表現そのものの成立が、アニメの音声の現地化を考察する上で重要な影響を与えていることが明らかになった。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度は、国際コンファランス「アニメ研究を切り開く:声とアーカイブ」の成果を発展させる。
国外調査はおそらく不可能であるが、石田、キムともに、韓国、台湾、シンガポールの研究者とのオンライン・ミーティングを定期的におこない、東アジア、東南アジアにおける音声の現地化についての調査を進める。
年度末にはこの調査結果を踏まえて、当該課題の論文化を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は新型コロナ感染拡大のため国外調査が実施できなかった。また研究代表者の所属大学の予算にて国際コンファランスを開催した。結果、2019年度のインタビュー調査関連資料の整理のための人件費と、音声の現地化関連資料購入の物品費の執行にとどまった。
2020年度の現地調査が不十分だったため、研究実施期間を2021年度にまで一年間延長し、東アジア、東南アジア各国の研究者、アニメ産業関係者への聞き取り調査をオンラインにて実施する。予算は、インタビュイー、および通訳への謝金に充てる。
|
備考 |
国際コンファランスのプログラム内容が記載されたpdfファイルは、環東アジア研究センターのサイトからダウンロードできます。
|