メディアアートの保存修復は、歴史が浅いため、絵画や彫刻といった既存芸術が蓄積してきたような方法が不足している。特に、電子技術を駆使したメディアアート作品は、使用されている技術やその周辺の情報環境(外部サービス、API等)に依存している側面があり、保存・保守が困難であるという問題を抱えている。そうした制約の中で、作品をいかに持続させるかという議論は、昨今活発になってきているが、本研究では、電子技術や機械を構成要素とする以上、耐用年数や寿命からは逃れられないという前提に立ち、それをいかに延命させ、どのように終わらせるか、といういわば「期限付きの保存」について提案し、方法論として構築するものである。
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