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2018 年度 実施状況報告書

有田磁器への新加飾法の提案 -発光性結晶釉の開発-

研究課題

研究課題/領域番号 18K00239
研究機関佐賀大学

研究代表者

渡 孝則  佐賀大学, 理工学部, 教授 (10136541)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードウィレマイト / 結晶釉 / 発光
研究実績の概要

本研究では亜鉛結晶釉 (Willemite結晶 (Zn2SiO4) ) において, 釉薬組成及が結晶の成長及び形態に及ぼす影響を調べた。また、シードへのMnO添加量を増すと発光性結晶は向上するが、中央部が茶色に着色することが分かった。【結晶成長】釉薬原料のCaOとZnOの割合を変えて結晶を成長させた処、0.25ZnO, 0.6CaOで形状が整った同心円状の大きな結晶が得られることが分かった。ZnOの割合が低いと半円の扇形状結晶となり, また割合が高いと複数の位置に結晶が析出し,生成位置を制御することはできなかった。同心円状の結晶がシード材を中心に成長した。ZnOの割合が高いほど大きな針状の結晶となった。ZnOの割合が高いサンプルでは, シード材以外から結晶が成長した。これは、釉中でZn2+濃度の高い場所が存在し, そこが核となったためと考えられる。以上の実験結果から0.15KNaO,0.25ZnO,0.6CaO/0.16Al2O3,1.24SiO2が最適組成であることが分かった。結晶成長の経時変化では結晶の大きさは時間に正比例せず, 増加した。針状の結晶はc軸方向に成長していた。【発光性結晶】降温速度が250℃/hでは、結晶が中心部で密に生成した。降温速度が100℃/hでは中心から同心円状に生成した。これは、結晶核のZnO数が減り、結晶同士が重ならなくなったためである。焼成温度を下げ、また降温時間を短くすることで結晶を安定して生成することができた。陶土:シード材=2:1では、結晶が小さくなった。これは、シード材のZnO割合が少なくなったためである。シード材へMnOを添加することにより発光性結晶が得られた。MnOの添加量が多くなると発光強度は増加するが、結晶中心部が茶色く着色した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

申請時に予定していた、最適組成を見出し、それについて発光結晶を成長させることができたため。ただし、発光強度を高くすると結晶中心部が着色し、装飾性の観点からは悪く、最適添加量を考える必要があることが分かった。

今後の研究の推進方策

・磁器素地に穴をあけてシード材を充填していたが、陶芸家から「この方法は実際の焼物には適用できない」と言われた。そこで、磁器に穴をあけずに、シード材(ZnO+陶土)を磁器表面に塗布することによる結晶成長について検討することとした。
・MnO添加実験の磁器素地として平板を用い、結晶成長に及ぼすMnOの効果を調べる。また、釉薬へMnOを添加し、早い成長速度及び発光特性の向上を目指す。
・発光結晶においても、シード材を磁器素地へ塗布する方法を検討する。

次年度使用額が生じた理由

昨年度に購入した原料が残っていたため、新規購入量が予想より大幅に少なくなった。学会発表用に考えていた旅費について、近くであったため別予算からの支出とした。次年度は、原料がほぼ無くなったため新規購入する必要があり、また、国際会議での発表により本研究成果の海外での評価を直に聴く。手製加熱炉のメンテナンスが必要であり、これにも使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 亜鉛釉におけるZn2SiO4結晶の成長2018

    • 著者名/発表者名
      梅野翔太、稲田隼也、矢田光徳、渡 孝則
    • 学会等名
      日本セラミックス協会 九州支部 秋季研究発表会

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公開日: 2019-12-27  

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