研究実績の概要 |
本研究では亜鉛結晶釉 (Willemite結晶 (Zn2SiO4) ) において, 釉薬組成及が結晶の成長及び形態に及ぼす影響を調べた。また、シードへのMnO添加量を増すと発光性結晶は向上するが、中央部が茶色に着色することが分かった。【結晶成長】釉薬原料のCaOとZnOの割合を変えて結晶を成長させた処、0.25ZnO, 0.6CaOで形状が整った同心円状の大きな結晶が得られることが分かった。ZnOの割合が低いと半円の扇形状結晶となり, また割合が高いと複数の位置に結晶が析出し,生成位置を制御することはできなかった。同心円状の結晶がシード材を中心に成長した。ZnOの割合が高いほど大きな針状の結晶となった。ZnOの割合が高いサンプルでは, シード材以外から結晶が成長した。これは、釉中でZn2+濃度の高い場所が存在し, そこが核となったためと考えられる。以上の実験結果から0.15KNaO,0.25ZnO,0.6CaO/0.16Al2O3,1.24SiO2が最適組成であることが分かった。結晶成長の経時変化では結晶の大きさは時間に正比例せず, 増加した。針状の結晶はc軸方向に成長していた。【発光性結晶】降温速度が250℃/hでは、結晶が中心部で密に生成した。降温速度が100℃/hでは中心から同心円状に生成した。これは、結晶核のZnO数が減り、結晶同士が重ならなくなったためである。焼成温度を下げ、また降温時間を短くすることで結晶を安定して生成することができた。陶土:シード材=2:1では、結晶が小さくなった。これは、シード材のZnO割合が少なくなったためである。シード材へMnOを添加することにより発光性結晶が得られた。MnOの添加量が多くなると発光強度は増加するが、結晶中心部が茶色く着色した。
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