研究課題/領域番号 |
18K00244
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
村上 泰介 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 准教授 (40410857)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | メディアアート / ニューロダイバーシティ / 発達障がい / 感覚統合 / 特別支援学校 |
研究実績の概要 |
本研究は発達障がいおよび発達過程にある児童などの感覚特性の研究をもとに、人々の多様な感覚統合の様相を、メディアアートの手法を活用して体験可能とする芸術表現の確立を目指している。 2019年度は、2018年度に引き続き県立の大型児童館である愛知県児童総合センターで本研究の成果を研究協力者と共に一般に向けて公開した。研究成果は、情報技術などを活用し試作した作品を展覧会形式で児童やその保護者に公開した。また、同センターが公募形式で参加者を募った「こども研究員」と呼ばれる児童と研究者との対話プログラムも実施された。この展覧会や、対話プログラムを通して、作品体験への参加方法を詳細に検討することが可能になった。 また、ニューロダイバーシティの概念は、2011年に米国シラキュース大学で開催されたシンポジウム”National Symposium on Neurodiversity”以降、その対象とする範囲を拡大しており、発達障がいだけではなく、幅広く人間の神経学的な多様性を扱うようになってきており、教育現場でのアプローチが注目されるようになってきた。そのため、本研究においても、2019年度から、教育現場での取組みを理解するために、特別支援学校での調査を開始した。 今後は、メディアアートの持つ、情報技術を表現に用い、人間の諸感覚を拡張するという側面を、ニューロダイバーシティの概念を用いて再構築する本研究を、愛知県児童総合センターでの一般公開に加え、特別支援学校の生徒たちの表現によっても検証することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は発達障害および発達過程にある児童などの感覚特性の研究をもとに、人々の多様な感覚統合の様相を、メディアアートの手法を活用して様々な人に体験可能な場として創出する芸術表現の確立を目指している。 2019年度は、2018年度に引き続き愛知県児童総合センターで実施された4大学による展覧会「アートと遊びと子どもをつなぐメディアプログラム メディア実験室」(2019年9月7日から9月16日の期間で開催)にて本研究の成果を一般に向けて公開した。本展覧会内で、研究代表者と研究協力者が制作した作品を、児童やその保護者に公開した。また展覧会期間中に、同センターが公募形式で参加者を募った「こども研究員」と呼ばれる児童と研究者との対話プログラムも実施された。この展覧会での作品展示や、対話プログラムを通して、作品体験への参加方法を詳細に検討することが可能になった。 また、本研究で調査を進めているニューロダイバーシティの概念は、2011年に米国シラキュース大学で開催されたシンポジウム”National Symposium on Neurodiversity”以降、その対象とする範囲を拡大しており、本研究でも多様な児童を対象に研究を進めるべく、教育現場での取組みを理解するために、特別支援学校での調査を開始した。同調査を通して様々な児童の持つ感覚経験や身体性に対応する表現としてのメディアアートの調査を進めている。 この特別支援学校での調査を踏まえて新たな作品を研究協力者と共同で制作を進めている。新たな作品は、2020年度も愛知県児童総合センターで一般公開を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を進めるにあたって、ニューロダイバーシティの概念を、発達障がいに加えて、神経学的多様性に含まれる様々な人々まで拡大して扱う。具体的には、児童福祉施設や、特別支援学校などに集う多様な児童や、その養育者のあいだで自在に扱える表現形式としてのメディアアートの構築を目指す。 既に2018年度と2019年度それぞれにおいて、愛知県児童総合センターにて実施された展覧会を通して研究成果を一般公開して来た。2020年度は、同センターにて、特別支援学校での調査をもとに、ニューロダイバーシティの人々をつなぐ媒体としても機能する体験空間をメディアアートとして構築し、一般公開する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は研究成果を展覧会として一般公開し、展示による効果などを検証して、次回の展覧会での一般公開を目指すというサイクルの中で研究成果としての展示装置(作品)を改良し、研究目標を達成することを目指している。このうち、展示発表のための展覧会設営費用などにおいて、2019年度は愛知県児童総合センターで実施したことから支出を抑えることができた。 最終年度となる2020年度は、愛知県児童総合センターの展示に加え、オンラインでの作品体験の仕組みなどを特別支援学校などと協力して実現する計画である。 研究を進めるにあたって、特別支援学校での調査にかかる旅費、作品体験の仕組みを実現するインターフェイス装置にかかる材料費、共同研究者と共同制作を進めるための謝金が必要となる。
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