研究課題/領域番号 |
18K00247
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研究機関 | 神戸芸術工科大学 |
研究代表者 |
戸矢崎 満男 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (10227647)
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研究分担者 |
さくま はな 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 准教授 (00589202)
藤山 哲朗 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (10278856)
川井 広之 (かわいひろゆき) 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 教授 (10341017)
尹 智博 神戸芸術工科大学, 芸術工学部, 助教 (90549677)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 伝統文化 / お大師 / 祭礼 / アートプロジェクト / ワークショップ |
研究実績の概要 |
春の瀬居島での「お大師市(お接待)」などの現状調査を手始めに、坂出市市役所にぎわい室の協力を得ながら、与島五島(沙弥島、瀬居島、与島、岩黒島、櫃石島)を訪れ景観や歴史的な資料を調査する。住民の方々にヒヤリング調査を行い、必要な記録資料などを入手し、基礎的な研究を行った。 瀬戸大橋で繋がる与島五島と埋め立てを地理的、地形的、空間的に理解するために、岡山県側から香川県坂出市までの航空写真と動画をセスナ機をチャーターし撮影した。 瀬戸内エリアの祭りや行事は、お大師(弘法大師空海)の影響を強く受けているため、高野山の宿坊に泊まり、奥の院の視察と空海の思想や歴史および現在との関係について調査を行った。 盆踊りが無形民族文化財に指定される与島と櫃石島に加えて、瀬居島の竹浦地区と西浦地区の盆踊りを動画で記録し、共通するところと違いについて調査を行う。 基礎研究を元に、1960年代に埋め立てにより陸続きとなった瀬居島を舞台とした「地域連携型アートプロジェクト」の実践を計画し、坂出市にぎわい室と連携し準備を進める中で、会場とするにふさわしい場所や古民家を調査した。アートイベントとして「神戸芸術工科大学アートプロジェクト」を計画し、島の住民や坂出市民の参加を呼びかけワークショップや交流会を行った。アートイベントは、本研究に基づく現地の風土を生かしたアート作品を地元民と共同で制作するのが目的で、地元住民に対しては説明会を複数実施した。地域住民を対象にしたアートワークショップでは、瀬居島の瀬居小学校の協力を得て、交通整理のためのコーンを小学生が描く絵を使うことなどで住民の多くが参加するプロジェクトを進めた。展示作品は本研究者4名と、他に1名を加えた5作品を4箇所で現地制作するため、地元住民や坂出市民を集める「制作ワークショップ」などを複数行い準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
伝統文化がどのように継承されているか、実際に現地の方々と共に活動することによって、理解できることが様々ある。基礎調査を十分に進めた上で、伝統文化や地形的条件などの研究を基にしたアートプロジェクトを計画した。 アートプロジェクトを進め、その成果を発表する機会として、日程的には「瀬戸内国際芸術祭2019」の春会期と合わせることが人々の関心を高め研究成果を上げるために有効であると考え、研究と計画を早めに進めた。そのことから、準備や制作ワークショップなどで旅費の比率が大きくなっている。次年度内に開催されるアートイベントでは、運営と管理が必要となり、そのために前半に旅費が多く必要となる予定である。 また、アートプロジェクトだけでなく、基礎的な調査・研究を更に深めるために、与島五島の中で研究を十分に進めて来た瀬居島以外の島も研究対象として調査範囲を広めてゆく。
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今後の研究の推進方策 |
春の「お大師市」では、調査に基づいて精度の高い独自のマップを制作し、また瀬居小学生からの「こどもたちのお勧め」を裏面印刷することで、島を訪れる方々に有効に使用してもらう。 これまでの調査・研究を元に「神戸芸術工科大学アートプロジェクト」を計画し、ワークショップを含むアート作品を瀬居島を舞台に現地住民と共同で制作する。制作においては、サイトスペシフィックな作品として、結果よりも地元民との関係を重視し、多くの来場者を迎える文化的なイベントとする。芸術祭としての運営を、ボランティアを含む住民と行い、島独自の現状や歴史について理解を深める。調査・研究やアートイベントの記録(写真、動画など)などを中心に、坂出市の中心で発表する展覧会などを計画する。 同時に、地域の伝統文化としての祭礼である独自の「盆踊り」や「秋祭り」などの昨年度調査を踏まえて、更に比較・研究し記録を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
基礎的な調査・研究を行い、それを元にしたアートプロジェクトを計画した。調査、準備、制作では旅費が多くかかったが、アーティストの作品制作では本研究費を使用していない。それによって、研究費を少し残すことで、次年度の研究や計画したアートイベントの運用などに充てたい。アートイベントは次年度前半になるので、旅費などで予定より多く費用が必要になっている。
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