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2020 年度 実施状況報告書

解像度から深さへ:銀塩写真メディアの構造を応用したデジタル画像表現の質的転換

研究課題

研究課題/領域番号 18K00248
研究機関福山大学

研究代表者

安田 暁  福山大学, 人間文化学部, 教授 (00640228)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード銀塩ネガカラーフィルム / フィルムの撮影システム
研究実績の概要

今年度は研究最終年度として、前年度までに構成した撮影システムを運用し、プリントによる出力方法を完成させ、招待作家とともに作品制作を通じて全体の検証を行う予定であったが、撮影システムの不備を検証しつつ改良、更新することをまず重視し、プリントまで含めた全体の完成、作品制作による検証は研究期間の延長後に実施することを視野に進めた。
撮影システムでは、前年度問題があった微動システムは大きな問題がなく稼働できる状況を構築できたために、いくつか条件を変えてステップフォーカスによるネガ撮影を行いながら基本となる撮影設定を構築した。
この中でネガフィルムを保持する部分の問題が顕著になった。前年度、静電気による吸着に加え物理的に保持する方法をテストしたが、安定性に欠けており、そのため有効なデータが得られないことが多く発生した。そのため前年度の方法をさらに進め、物理的にネガフィルムを保持することをメインとし、補助的に静電気を用いるための樹脂製ネガキャリアを設計し製作した。これはこの研究のための専用のものであったが、簡易な方法で加工でき、既存ネガキャリアよりも安定して運用できるという点で、他のネガフィルムを用いた研究にも応用できるであろうことを見出している。
これらの改良によって、銀塩ネガカラーフィルムを高精度にデジタル化するという点では従来可能であったものより高いレベルでデータを得ることができている。しかしながら、ステップフォーカスにより得られるレイヤー状のデータの活用についてはまだ十分な方法を見いだすことができておらず、ステップフォーカスを活用することにより、最良に近いデータを得ることができる、ということにまだ止まっている。
プリントについては、デジタル化の精度を確認するための評価用プリントの出力に止まっており、エキシビションクオリティのプリント製作にはまだ実験が必要であることを確認している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は本来、招待作家を招き、作品制作を通じて運用し、その成果を検証する予定であった。しかしながらコロナウイルス感染症の影響下、遠方から作家を招いての検証は著しく困難がますことが予想された。そのためこの部分に関しては内容や実施方法の検討を改めて行うこととし、研究期間の延長を視野に、今年度の研究を進行した。
また、ネガフィルムの撮影システムの改善を、データ取得部分の精度向上を中心に行う必要があり、出力部分の検証を今年度も行う必要があったため、これも全体の進行を遅らせることとなった。

今後の研究の推進方策

最終年度となる次年度では、当初予定した方法とは異なる形になる可能性はありつつも、最終的に作品制作と展示を行うことで発表し、研究を終えることとしたい。そのため、すでに展示会場については交渉を開始しており、次年度末の作品展示を実施できるよう準備を整えている。
また、コロナウイルス感染症の影響が継続することも予想される中、作家招待をどのような形で行うかの検討、調整を行いつつ、いくつかのルートで招待する作家候補と連絡を取っている。
今年度十分に実施することができなかったプリント製作は、使用ペーパーを限定することでシンプルに成果を判断できるような方法を検討しており、次年度はスムーズに制作を行うことができる見込みである。
次年度前期にプリント出力のデータを収集、整理した上で、最終的な発表の環境に臨めるように準備を進める。

次年度使用額が生じた理由

先述のとおり、作家招聘による作品制作、研究成果の検証は今年度行なっていない。そのためそれに関する費用は使用していない。次年度では可能な方法で他作家に協力を依頼し制作、検証を実施する。
また、エキシビションクオリティのプリント制作については、データ入力部分の検証を中心に行ったこともありほぼ進んでおらず、これについても未使用額が発生している。次年度前期はなるべくシンプルな形としながら、プリントを製作しつつ有効な成果を得るべく出力方法を検証していく。このため、当初の予定に近い形で研究予算を使用することを計画している。

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公開日: 2021-12-27  

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