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2020 年度 実施状況報告書

伝統産業の需要分析:九州北部の伝統工芸品に関する計量経済学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 18K00249
研究機関九州産業大学

研究代表者

黒木 宏一  九州産業大学, 経済学部, 講師 (00618150)

研究分担者 内山 敏典  九州産業大学, 経済学部, 教授 (10151903)
外園 智史  九州産業大学, 経済学部, 准教授 (40611570)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード時系列データ分析 / LA/AIDSモデル / 価格弾力性 / 所得弾力性 / ストック効果
研究実績の概要

本研究の目的は、九州北部地域の指定伝統工芸品のうち陶磁器産業に着目し、消費者のニーズの多様性に着目した分析を試み、当該産業における生産の維持拡大を志向する「新たな需要」の創出に資する新知見を得ることである。この目的を果たすため、本研究は(1)公統計の利用による需要分析、(2)アンケート調査による需要分析の、2つの方法で研究を進めている。
2020年度は、公統計の利用による需要分析に関して、概ね以下のような成果を得た。
成果①:香港における日本産陶磁器の需要構造について計量経済分析を行い、日本産陶磁器が他国産に比べ市場支配力を持っているかを検証した。分析は、LA/AIDSモデルを用い、中国、日本、EUという香港市場の輸入上位3か国、2010年から2017年のデータから、需要体系を推定し、その推定結果からさらに各種弾力性とプライス・コストマージンを推計した。結果として、日本産陶磁器は製品差別化されている可能性が高いが、日本の市場支配力は次第に弱まりつつあることを明らかにした。
成果②:高度経済成長期等とは異なる、近年のわが国の社会経済状況下における伝統工芸品の需要構造の分析を試みた。1997年から2017年の家計調査データを用いて、同期間における全国、九州地方および北九州・福岡大都市圏の分析結果の比較から品目毎の所得効果、価格効果及びストック効果の有無、その大小を明らかにした。
なお、以上の成果のほかに、アンケート調査による需要分析に関しては、その補強のための調査の検討に継続的に取り組み、実施の準備を進めている。また、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が当該産業に与える影響について、資料の収集を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究実績の概要に示した通り、2020年度は主に2つの成果を得ており、これまでに引き続き一定の成果を上げることができた。
交付申請書に記載した「研究の目的」「研究実施計画」に照らし、概ね計画通りに進んでいるものの、予定していたアンケート調査データを用いた計量分析の補強のための調査の検討と実施が、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響にともなって実施できなかった。よって、本研究は「やや遅れている」と自己評価する。

今後の研究の推進方策

最終年度である2021年度は、2020年度に実施を予定し新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により遅延した、アンケート調査データを用いた計量分析の補強のための調査を実施し、これまでの研究を体系的に整理し、とりまとめたい。
なお、課題研究終了後の研究の発展に資するため、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行が当該産業へ与える影響について、可能な限り情報収集に努めたい。

次年度使用額が生じた理由

2020年度は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響による教育活動をはじめとする学務への諸々の対応に迫られたため、計画していた調査を実施することができなかった。そのため、次年度使用額が生じた。2021年度は、「今後の研究の推進方策」に記載の研究を予定しており、次年度使用額はその経費に充てて使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 香港陶磁器市場における日本の市場支配力2021

    • 著者名/発表者名
      外園智史・黒木宏一・内山敏典
    • 雑誌名

      産業経営研究所報

      巻: 53 ページ: 1-6

  • [雑誌論文] 「家計調査」にみる伝統工芸品需要の時系列分析2021

    • 著者名/発表者名
      内山敏典・黒木宏一
    • 雑誌名

      伝統みらい研究センター論集

      巻: 4 ページ: 1-17

    • 査読あり

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公開日: 2021-12-27  

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