本研究は、現在活発に研究が進んでいるインフラストラクチャの社会学的な動態研究に欠落しているその審美的な側面のダイナミズムを科学技術社会学(STS)的視点からアプローチしたものである。インフラの不可視性(invisibility)は、通常それが安定運行することによる社会の無関心という意味で使われるが、目に見えるインフラは、景観という文脈で空間内での審美性という別の問題があり、それはその機能とは別のダイナミズムをもたらす面がある。こうした側面は従来のSTS研究では大きくかけていたポイントであり、STSと景観論、更に視覚芸術研究の間にある、未開拓の領域に大きく踏み込んだ。
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