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2022 年度 実績報告書

ノーベル賞選考資料を用いた日本の科学研究への国内外の評価の変遷に関する調査

研究課題

研究課題/領域番号 18K00251
研究機関東京大学

研究代表者

岡本 拓司  東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30262421)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード湯川秀樹 / 北里柴三郎 / 野口英世 / 山極勝三郎 / 素粒子論
研究実績の概要

入手済のノーベル賞選考文書と、日本国内で調査可能な事項に関して検討を進め、主に戦前期の日本の研究者に対する国内外の評価の変遷についての概要を得ることに成功した。明らかになったのは以下のような事情である。
日本全体で見れば、1949年の湯川秀樹のノーベル物理学賞受賞の影響は大きく、とりわけ国内の研究者は、これにより大きな自信を得るに至った。湯川秀樹の受賞以降は、それ以前の半世紀には数件にとどまっていた物理学賞・化学賞への、国内の研究者によるノーベル賞への推薦も増えた。一方で、湯川に次いで1965年に物理学賞を受賞した朝永振一郎の事例のように、国外からの推薦が必ずしも多いとは言えない場合に、注目を浴びた他の国外の科学者の業績が検討されることにより受賞者に含まれていくといった経緯が確認されることから、戦後も、国際的な評価の高まりがノーベル賞の受賞をもたらすというよりは、ノーベル賞の受賞によって日本の研究成果の意義が確認されるという状況であったこともわかる。
一方、生理学・医学賞への推薦に即して見られる通り、北里柴三郎・野口英世・山極勝三郎のように、国外からも高く評価される業績を挙げながら、日本の研究者の当該分野のノーベル賞受賞が遅れたために、国際的には漠然とした印象に基づく低い評価がなされ、国内では、現実の研究成果に比して人種等に基づく不当な判定がなされているとの、これも漠然とした印象が定着する事態も確認されることが明らかになった。
また、ノーベル賞受賞者が10人に1人程度の頻度で現れるに過ぎなかった20世紀後半と、数年に1人は日本出身の科学者の受賞がみられる21世紀に入ってからの四半世紀とでは、ノーベル賞に対する感覚には大きな変化がみられる。ただし、こうした事態は、国際的には日本の科学への高い評価を導くものとなっても、国内では必ずしも同様の評価を生んではいない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 船上のフィジシスト――アインシュタインと日本人外交官一家の交流2023

    • 著者名/発表者名
      岡本 拓司
    • 雑誌名

      日本物理学会誌

      巻: 78 ページ: 91~94

    • DOI

      10.11316/butsuri.78.2_91

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 戦前期の日本人科学者とノーベル賞:生理学・医学賞の事例から2022

    • 著者名/発表者名
      岡本 拓司
    • 雑誌名

      化学と教育

      巻: 70(8) ページ: 384~387

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 近代日本における科学論の展開 : 廣重徹の「科学の体制化」を手掛かりに2022

    • 著者名/発表者名
      岡本拓司
    • 雑誌名

      近代教育フォーラム

      巻: 31 ページ: 42~50

  • [学会発表] A Japanese Christian Physicist Defends Evolution: British Influences upon Kimura Shunkichi’s Philosophical Scrutiny of Science2022

    • 著者名/発表者名
      Okamoto Takuji
    • 学会等名
      Transnational Studies of 19th-Century Japanese and British Science conference
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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