本研究では、社会課題解決を目指す研究推進の場において、政策と研究者との間にコミュニケーション、コンテクストギャップが存在すると仮定し、それが何かを明らかにすることを目指すものである。令和元年度以降から引き続き、コロナ禍の影響を受け、課題対象である欧地での学会参加を実施することができなかった。今年度は、社会的課題に関連した政策と研究助成、また助成期間の調査を行った。具体的にはEUに属するフィンランドに注目し、特に研究助成機関と大学での社会課題解決を目指す研究推進について注目した。社会課題に対してアカデミアの研究力が最大限に活かされるためには、そのアカデミアの研究力についての理解をすすめることが重要であるが、それが助成機関と大学において、どのように政策や方向性が解釈をされ、企画を実施しているかを調査した。また、これまでの研究によって、それぞれの国に研究助成や支援など同様の組織が設定されていて、研究推進を実行しているが、組織の位置付けにより、アカデミアとのコミュニケーションをする前提の立場が異なることが見えてきた。そこで、両者が研究者あるいは研究組織に向けてどのような位置付けに自らを設定しているか等も調査した。 また、前年度に実施した他国での研究力評価調査との比較としてフィンランドを調査したところ、フィンランドの場合では国としての研究力評価は他国のように政府の設定する枠組みが細かく設定されておらず、や研究力評価の利用目的が異なることが明らかとなった。現在これらの成果について論文執筆しており、次年度内の発表を計画している。
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