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本研究では、明治新政府が、日本の殖産興業・近代化を図るために、明治元年から14年間、生野鉱山寮に雇用したフランス人鉱山技師ジャン＝フランソワ・コワニェを始めとする総勢24名の明治お雇いフランス人技師らについて、既存研究ではなされていなかったフランスでの文献・史料発掘調査および日本国内でまだ研究に活用されていない資料発掘調査を行い、フランス人らの日仏両国における業績および両国に与えた影響、当時の日仏交流の様子に関する考察・解明を試みた。
本年度は、コワニェの生野銀山赴任時の詳細を記した当時の記録、およびコワニェの義弟で建築技師のジャン・シスレーが、生野鉱山と飾磨津（現・姫路港）間の輸送手段の近代化のために設計した、日本最初の産業高速道路と呼ばれる「生野鉱山寮馬車道」の測量・建築の様子について記した記録を発見した。これらの古文書の解読および分析により、これまで知り得なかった当時の様子や導入された西洋技術を明らかにすることができた。
本研究期間中、日仏両国において調査・研究を行い、多数の資料・文献や情報の発掘に成功した。入手した資料を精査・整理・検証することによって、「生野お雇いフランス人らの経歴と活動」、「同フランス人らが見た明治初期の日本および当時の日本人や他機関のお雇いフランス人との交流」、「同フランス人らによる明治初期の日本への西洋技術や学問の導入過程」、「同フランス人らを通してフランスの各種学会に与えた日本の影響」「お雇いフランス人が日本の近代化に与えた影響」について考察・解明することができた。
また、本研究成果を、関連学会での研究発表の他、一般市民対象の講演・シンポジウムの実施、関連展覧会での資料展示・図録作成協力などで公開することにより、各種学界や関連地域・行政機関などに多くの貴重な情報や新資料を提供するとともに、先行研究における間違いの訂正を行うことができた。
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