本研究では西欧初期近代の医学教育に関して、初学者向けに学習の仕方や医学学習の意義を説く書籍群の調査をした。これまでこのような書籍群の一部についての研究はあったが、書籍群として1つのジャンルを形成しているとは考えられていなかった。本研究では「医学学習指南書」というジャンル名を与え、16世紀から18世紀にかけて出版された書籍を発掘・収集し、内容の分析を行なった。 調査から書籍群には共通する話題が含まれることが明らかになった:①学習すべき内容と参照すべき書籍の紹介、②医学の特質、③学習者の態度。特に①については複数の書籍を比較し、医学そのものや諸分野の変化に応じて変化していることを明らかにした。
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