第二次大戦下の日本の科学者による戦時に関わる活動は,助言的役割と開発的役割の2つに区分できる.前者は科学者による戦時下での政策関与や世論形成への関与であり,後者は科学者による軍事技術開発への直接関与である.また,この時期には,航空機対策として偵察・探知等の民生技術との親和性のある兵器が求められ,開発には,発展途上の原子核物理学の知識が有効であり,科学者の政治的役割を拡大できる可能性が存在した.英米は,科学者が政治家・軍上層部の助言者となったが、日本では実現しなかった.また英国では公務員、米国では大学所属だったが、日本では、軍隊内の嘱託等など,戦時中の身分の低さがこの違いを生んだと結論できる.
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