研究課題/領域番号 |
18K00274
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
渡辺 麻里子 大正大学, 文学部, 教授 (30431430)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 園城寺 / 談義書 / 三大部 / 身延文庫 / 天台談義 / 廬談 |
研究実績の概要 |
研究課題である「園城寺所蔵天台関係聖教の調査による中世天台談義書を生成するネットワークの解明」のために、園城寺において園城寺所蔵資料のうち天台関係資料の調査を実施した。特に、三大部関係の注釈書を中心に調査を進めた。園城寺所蔵の『三大部廬談(三大部見聞述聞)』は、『三大部廬談』の伝本の中でも、三大部見聞・述聞ともに揃った希少な伝本であり、天台談義を検討するための重要な資料である。その撮影・調査および分析を行った。 また天台聖教のネットワーク解明のため、身延山久遠寺身延文庫の所蔵資料のうち、天台関係資料・園城寺関係資料の調査を実施し、資料のデジタル撮影と目録作成を行った。身延山久遠寺の中世の学僧は、しばしば園城寺に遊学していて、園城寺における中世の談義資料を筆録したものや、他に天台寺院において書写したものと推測される天台関係資料を多く所蔵している。そのため、人と書物のネットワークの解明のために重要であり、中世における天台談義を解明するための貴重な資料である。 さらに、本研究課題の成果を広く公開するための報告書の作成に向けて、調査し撮影した資料の整理や、精査を行った。『三大部見聞述聞(三大部廬談)』の全体構成は複雑で、ようやくその全容を解明しつつある。その概要を、論文「『三大部廬談』についての一考察――叡山文庫本・園城寺蔵本・身延文庫蔵本など諸伝本の検討から――」という論文などで公開した。また所伝本の比較対象の結果を、報告書にまとめ、公開するための準備を整えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象として予定していたものとは別の新出の資料が見出されたため、研究成果としては、当初の計画以上に進展していると言える。ただし、その一方で、成果報告としての報告書の刊行に、より時間がかかることとなった。それらの点を加味して、全体としてはおおむね順調に進展していると判断される。、
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今後の研究の推進方策 |
園城寺所蔵の特に天台関係聖教の実地調査・撮影については、ほぼ終了し、今後はその内容の精査と、成果報告を報告書にまとめることを考えている。また成果は、学会等でも公表し、研究発表や学術論文の発表によって、広く研究者間で共有し、研究に資するようにしていく。また報告書においては、目録をすること、『三大部見聞』の諸本比較の一覧と、奥書部分の写真を掲載することにより、他所蔵本との比較をしやすくし、今後の研究のための基礎資料を提供したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍にあって調査が進められなかった影響で、予定の進捗ができなかったことと、調査研究を再開してから、計画以上の新出の貴重資料が見出されるなどしたため、次年度にさらなる調査を行い、報告書をまとめられるように、基金を繰り越した。
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