研究課題/領域番号 |
18K00278
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
小野 恭靖 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50194600)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ことば遊び / 往来物 / 番付 / 見立番付 / 瓦版 / おもちゃ絵 / 江戸時代 / 文献資料 |
研究実績の概要 |
本年度は4年間にわたる研究期間の2年目に当たり、往来物及び見立番付資料の閲覧調査のため、8月に東京都立中央図書館(東京都港区南麻布5丁目7-13)、国文学研究資料館(東京都立川市緑町10-3)を訪れた。また11月には佐川美術館(滋賀県守山市水保町北川2891)を訪問した。 8月の都立中央図書館への訪書では特別文庫に伺い、加賀文庫本『なにわにやげ』『浪花土産番附』『吾妻土産』『諸番附帖』『嬲訓歌字尽』をはじめとする合計11点の書籍(写本および版本)を閲覧調査した。また国文学研究資料館ではマイクロフィルム資料及び紙焼写真資料によって十返舎一九作の『婦人手紙之文言』(茨城県立歴史館所蔵)、鼻山人作の『木曽路往来』(国文学研究資料館所蔵)といった戯作者が創作した往来物を調査するとともに、『幼稚遊昔雛形』(名古屋市鶴舞中央図書館所蔵)、同(名古屋市蓬左文庫所蔵)、『稚遊び』(名古屋市蓬左文庫所蔵)などの江戸時代末期の子ども向け遊戯本、さらには広義の往来物に含まれる『時勢恋の文づくし』(国文学研究資料館所蔵)等を閲覧調査した。 11月の佐川美術館訪問では特別企画展「ZENGA 白隠と仙厓展」に赴き、近世を代表する禅画作者である白隠慧鶴および仙厓義梵の数多くの禅画や筆跡を実見することによって、江戸期の仏教関係資料におけることば遊びについて考察を深めることができた。 以上の他、写本の往来物として貴重な『御筆教訓手鞠歌』の複製を国立教育政策研究所教育図書館から入手した。当該資料は歌謡による教訓書にあたり、江戸時代に盛んに創作された〝教訓いろは歌〟との関係について考察する手掛かりとすることができた。 他方、『東海道往来』『歌字盡』『名頭字』『専玉古状揃宝蔵』などの往来物、『文字書違見立相撲』『文字書違見立二編』『重言見立大角力』などの見立番付を古書店から購入し、調査を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度に実施する予定であった首都圏における文献資料の閲覧調査対象機関のうち、国文学研究資料館及び東京都立中央図書館については、かなり綿密な調査が実施できた。しかし、2月に予定していた東京都(国立国会図書館、国立公文書館、東京大学総合図書館、静嘉堂文庫)への出張、3月に予定していた愛知県(名古屋市蓬左文庫、名古屋市立鶴舞中央図書館、刈谷市立図書館、西尾市立図書館岩瀬文庫)への出張という二度の出張予定が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、実施できなかった。ただし、名古屋市蓬左文庫、名古屋市立鶴舞中央図書館が所蔵する文献資料については、国文学研究資料館にマイクロ資料として所蔵されており、直接の訪問はできていないものの、文献の中身自体は把握できている。今後、実際に足を運んで原本を披見し、正確な書誌の確認を行いたい。
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今後の研究の推進方策 |
研究の3年目に当たる令和2年度は、前年度に実施できなかった機関へ文献資料の閲覧調査に赴くことが必要である。具体的には東京にある国立国会図書館、国立公文書館、東京大学総合図書館、東京大学史料編纂所、愛知県の名古屋市蓬左文庫、名古屋市立鶴舞中央図書館、刈谷市立図書館、西尾市立図書館岩瀬文庫、さらには中国地方の広島大学附属図書館及び島根大学附属図書館などへの訪問を検討していきたい。ただし、それらは新型コロナウイルスの収束が前提となるので、不確定の要素が強く、一日も早く研究が再開が可能となることを期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、文献資料の閲覧・調査予定であった機関への訪問ができなかった。そのために旅費を中心に残額が生じた。令和元年度に実施できなかった機関への文献調査については、令和2年度に実施したい。
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