研究課題/領域番号 |
18K00281
|
研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
沼尻 利通 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (90587635)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 版本 / 書誌学 / 紫式部日記 / 源氏物語 |
研究実績の概要 |
『紫式部日記』本文の校本を作成するための、基礎作業をおこなう。 これまで、宮内庁書陵部蔵黒川家旧蔵本、肥前島原松平文庫本、版本の扶桑拾葉集所収の本文の翻刻と、字母レベルでの比較をおこなう本を作成した(『紫式部日記本文資料集』)。 今回は、版本の群書類従本、紫式部日記傍注本と、写本の神宮文庫本を翻刻、字母レベルでの比較ができるものを作成する予定である。 字母レベルでの本文比較が可能なツールを作成することは、その本文同士の関係などを、より明らかにする。これまで、『紫式部日記』の本文は、黒川本が良いとされてきたが、諸本の関係を明らかにした上で、あらためて黒川本や松平本の位置をとらえなおすことが可能である。今回は、版本と神宮文庫本を対照としたが、目的としているところは、黒川本の本文史上の位置をどのように測定しなおすか、ということである。 また、江戸時代に出版された三種類の版本の『紫式部日記』は、どのような関係にあるのか、その本文上の関係なども明らかにしていきたい。 『紫式部日記』のみならず、平安時代の文学作品が、江戸時代にどのように受容されたのかも視野に入れて、本文をめぐる文化状況なども考察の対象とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
版本の群書類従本、紫式部日記傍注本は、翻刻が終わっている。今は神宮文庫本の翻刻に取りかかっている。神宮文庫本の読解に手間取っている。また、研究者も体調を崩したため、出張に行けない期間があった。
|
今後の研究の推進方策 |
まずは、神宮文庫本の翻刻作業を終わらせ、次に、群書類従本、紫式部日記傍注本の字母採集をおこなう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
体調を崩したために、旅費を使えなかった。今は体調も戻ってきたので、調査のための出張をしたいと考えている。今後、古典籍の研究書などを購入していきたい。
|