研究課題/領域番号 |
18K00284
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研究機関 | 熊本県立大学 |
研究代表者 |
大島 明秀 熊本県立大学, 文学部, 教授 (50508786)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 和本 / 写本 / 漢籍 / 蘭書 / 書誌 / 蔵書印 / 肥後 / 熊本 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、新型コロナウイルスの感染流行が継続したため、夏頃までは当初予定の調査回数を果たすことができなかった。しかし夏以降は状況を注視しながら調査可能な機関で数回調査することができ、また、これまでに発見した資料や得られた知見に基づく成果を発表した。 まず、熊本博物館蔵の和本群については、3回調査を果たすことができた。村田三節医書コレクションに続き、昨年度進めていた前原健太郎旧蔵和本(古医書)目録の作成を完成させ、「熊本博物館蔵前原健太郎医書コレクション目録」という題名で『熊本県立大学大学院文学研究科論集』第15号(2022.9)に発表した。なお、この論考には明記していないが、伝聞情報から旧蔵者前原健太郎氏のかつての居所や職業などもつきとめ、旧蔵者の情報を全く有していなかった熊本博物館に情報提供を行った。
次に、熊本大学図書館蔵の菅野是正旧蔵蘭書については、先方の指針により調査再開は叶わなかった。ただし、仮目録は既に作成しており、これに基づいて菅野文庫がどのようなコレクションで、どのような蘭書が存在しているのかを、2022年5月に弦書房から上梓した著書『蘭学の九州』 に織り込み、初めて世に紹介した。 最後に、後藤是山記念館蔵の写本については調査を再開した。同館の空調の故障により、調査は3回にとどまった。それでも250点まで目録を進め、さらに上記『蘭学の九州』(弦書房)の中で、昨年度発見した高島流砲術の写本である平川清古『波意蘇児記 莫爾智児記』(写本、1850年)を画像を付けて紹介した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染流行が継続したため、当初に予定していた調査回数を果たすことができなかった。状況を注視しながら夏頃から調査再開を果たすことができ、研究を進展させることができた。 まず、後藤是山記念館蔵の写本については、10回程度の調査に基づいて90%あたりまで目録採録を行う予定であったが、夏以降の再開となったことと、同館の空調の故障(現在も継続)も加わり、3回しか調査を行うことが叶わず、250点までの目録作成にとどまった。 次に、熊本博物館蔵の和本については、前原健太郎旧蔵和本(古医書)コレクション目録を完成させた。残るは草野幸次寄贈和本群で、これについては次年度に目録を完成させる予定である。 最後に、熊本大学図書館蔵の蘭書については、大学関係者以外の入館が禁止されていたため調査を果たすことができず、仮目録の作成にとどまっている。しかし、著書『蘭学の九州』に蘭書群の内容の紹介を果たすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの感染流行の状況を注視し、これまでと同様に、所蔵機関と入念に対応を相談しながら、引き続き調査を行う。 まず、後藤是山記念館蔵の写本については、今年度は10回程度の調査を行い、目録を完成させる意向である。 次に、熊本博物館蔵の和本については、草野幸次旧蔵の和本コレクションの調査に取り掛かり、目録を完成させる予定である。 最後に、熊本大学図書館蔵の蘭書については、既に著書『蘭学の九州』に紹介はしたが、学外者の入館が解除されることがあれば、調査を再開する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染流行につき、国外・国内での書誌調査予定の何回かを断念せざるをえなかったため。また、調査不十分のため、資料整理や目録入力のための人件費も予定よりかからなかったため。
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