本研究は、連歌師里村紹巴の出座した連歌百韻および千句を整理し、その文芸活動について明らかにしようとするものである。紹巴の百韻・千句は未翻刻のものが多いため、特に重要だと思われる資料を翻刻し報告書にまとめた。百韻・千句を調査した結果、紹巴は昌叱や心前ら親しい連歌師たちと常に同座し、行き様をコントロールしながら連歌会の迅速化をはかっていたことがわかった。自身が目立つ句を詠むのではなく、誰もが理解できる句を詠むようにし、連衆を楽しませるよう努めていたと言える。結果として、連歌に関わる人口が増加した。そして、紹巴が整えた会席の形式や句の詠み様が、後の俳諧に影響を与えたことも本研究で判明した。
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