研究課題/領域番号 |
18K00288
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研究機関 | 共立女子大学 |
研究代表者 |
遠藤 耕太郎 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (50514113)
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研究分担者 |
富田 美智江 流通経済大学, 法学部, 准教授 (40615952)
岡部 隆志 共立女子短期大学, その他部局等, 教授 (50279733) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 喪葬儀礼 / 殯 / 中国少数民族 / 挽歌 / リス族 |
研究実績の概要 |
①令和元年度に中国雲南省瀘水県で行なったリス族の喪葬儀礼調査の結果を分析した上で、1997年、1998年に同地域で行なった喪葬儀礼に関する歌を資料化、分析した結果、この地域における喪葬儀礼の歌は、周辺に暮らすイ族やナシ族のそれとは大きく異なる点があることが明らかになった。 喪葬儀礼は古代中国も含め、死者を死者の世界に送る送魂ベクトルと引き留めようとする招魂ベクトルが拮抗しあいながら進行し、最終的に送魂ベクトルが招魂ベクトルを圧倒するという構造を持っている。リス族の周辺民族の喪葬儀礼では呪的職能者が死者を死者の世界に送る送魂の呪文を唱え、一方、女性たちが哭き歌によって招魂をすることで儀式は進んでいく。これに対して、リス族の場合には、呪的職能者が死者と生者になり代わって、死者は自ら死者の世界に行きたいという意志を表明し、近親者がそれを阻止したいという招魂を受け持つことで儀式を進行させる。リス族は歌掛けがさかんな民族であるが、呪的職能者の呪文が歌掛けに開かれているという特徴を持っていることが具体的に明らかになった。 さらに、なぜ呪文が歌掛けに開かれることになるのかについても分析を続けた結果、そこに呪的職能者が神のような立場で、死者と生者よりなるこの世界すべてを認識しているという世界観ではなく、死者と生者それぞれの心の一部分のその場における駆け引きによって世界は成り立っているという世界観の違いがあるということが明らかになってきている。 ②予定していた中国雲南省南部での現地調査は本年も新型コロナウイルス蔓延のため、実施を控えざるを得なかったが、これまでMiniDVなどをMP4形式に変換する作業、翻字翻訳、資料整理の作業と分析に利用した。
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