研究課題/領域番号 |
18K00300
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研究機関 | 安田女子大学 |
研究代表者 |
島田 大助 安田女子大学, 文学部, 教授 (50351177)
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研究分担者 |
佐伯 孝弘 清泉女子大学, 文学部, 教授 (40255956)
山口 満 豊橋創造大学, 経営学部, 准教授 (60413762)
藤井 史果 昭和学院短期大学, その他部局等, 講師 (20828868)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | はつねまち / 笑話本 / 浮世草子 |
研究実績の概要 |
2019年度は、「定本 笑話本・小話本 書目年表(一)(二)」に記載される宝永から寛延に刊行された笑話本についての調査を、国文学研究資料館、国立国会図書館などを中心に、各研究機関のWebサイトの検索機能を利用して行った。また、これらの作業を踏まえて、インターネット上に画像として公開されている資料の収集を行った。2018年度に行った、元和から元禄に成立・刊行された笑話本についての追加調査も併せて行った。これらの研究については、島田大助と藤井史果が行った。 調査の過程で安永8年に刊行されたと推定される、諸年表・目録類に未記載の笑話本『はつねまち』を発見した。本書については、翻刻及び解説を、島田大助が「新出資料 ―笑話本『はつねまち』―」(『鯉城往来』、第22号、広島近世文学研究会)として発表した。島田大助は、日本笑話に影響を与えたと考えられる中国日用類書『増補萬寶全書』の嘉慶9年(日本の享和4年)版を新たに発見した。本書は、全國漢籍データベースに未記載の書籍でり、日本笑話と中国笑話との関連について考察する上で重要な発見である。島田大助は、『伊勢物語』第九段(八橋)を話材とする笑話についても『新編 知立市史 別巻 八橋編』で指摘した。 佐伯孝弘は、『諸国百物語』などに怪異色のない笑話が含まれていることを「江戸時代の人々は怪異を信じていたのか」(『古典文学の常識を疑うⅡ』)で指摘した。 山口満は、2018年度に構築した「新笑話本書目年表」の公開用Webサーバにおいて、収集・整理された実際のデータに基づきページデザインおよびデータベースの調整を行い、公開準備を進めた。 2019年度は、以上の研究を行った。諸本調査は、今後も作業を継続し、研究成果については、順次、Webページで公開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、「定本 笑話本・小話本 書目年表(一)(二)」に記載される、宝永から寛延に刊行された笑話本を中心に、調査・収集を行った。これに併せて、これまで、笑話本とは見なされていない怪異譚の笑いについて検討を行った。 2019年度中に、元和から寛延に成立・刊行された笑話本について調査を完了し、「新笑話本書目年表」としてWebページで公開する予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大により、調査旅行の延期、Webページの内容を検討するために予定していた研究会が中止になるなど、予定していた作業を終えることができなかった。論文1、著書2、新出資料の発見2の成果があったが、この点を踏まえ、「やや遅れていると」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、宝暦から文政に刊行された笑話本について、調査・収集を行う。また、前年度同様、元和から寛延までの資料についても追加の調査を行う。刊記未記載により刊年が確定できていない笑話本についての研究を行う。未翻刻の笑話本を翻刻し、公開する。笑話本の調査・収集は、島田大助、佐伯孝弘、藤井史果が行い、笑話本の翻刻は島田大助、藤井史果が行う。 2020年度は、大韓民国在住の海外研究協力者、琴榮辰の協力を得て、大韓民国に所蔵される笑話本の調査を行う。 浮世草子における笑話性は、『西鶴名残の友』『好色産毛』『怪談御伽桜』などについて既に指摘があるが、更に多くの作品が存在することは明らかである。それらについて調査を続けて行く。滑稽本など、従来、笑話本と見なされていない作品についても研究を行う。これは、島田大助、佐伯孝弘、藤井史果が行う。山口満は「新笑話本書目年表」のWebページでの公開を担当する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症のため、公開用Webページの内容を検討するために予定していた研究会が中止になり、出張費の支出が出来なかった。また、研究会後に行う予定であった、公開用Webページ作成に伴う人件費が執行出来なかった。2020年度は、2019年度分の人件費と合わせて予算を執行し、公開用Webページの作成を行う。
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