中世の日本において、神詠が大量に出現し、さらに多様な解釈が展開した動向を明らかにした。特に、中世の和歌、学問、思想を考える上で重要と思われる神詠を収集し整理した。対象としたのは、①中世に神詠として新たに作り出されたもの、②従来知られた和歌の作者に神を当てたもの、③古代の神詠に対して中世に新たな解釈を加えたもの、である。神詠と合わせて、神詠説話にも着目し、ある和歌がどのように神詠として形成され、解釈が加えられていったのか分析した。それらの成果をもとに、神詠の出現した背景とその展開の様相について明らかにした。
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