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2018 年度 実施状況報告書

肥前・薩摩を中心とする近世九州歌壇の総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00306
研究機関志學館大学

研究代表者

日高 愛子  志學館大学, 人間関係学部, 講師 (20706741)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード和歌 / 近世 / 九州 / 肥前 / 薩摩
研究実績の概要

研究初年次である本年度は、佐賀県立図書館、佐賀大学附属図書館小城鍋島文庫ならびに鹿児島県立歴史資料センター黎明館、鹿児島大学附属図書館玉里文庫の歌集群を中心に調査を実施した。
佐賀大学附属図書館小城鍋島文庫の調査を通し、先行研究で指摘されてこなかった歌集『新拾葉集』の詳細について明らかにした。『新拾葉集』は肥前小城藩第二代藩主鍋島直能の編んだ歌集であるが、その内容を精査するに、直能と同時代の皇族や堂上歌人の懐紙・短冊等を蒐集し、歌集としてまとめたものであることがわかる。飛鳥井雅章や坊城俊広など直能と直接的な交流を持った人物のほかにも、後水尾院・後西院歌壇における主要歌人の名が多く見られ、他の歌書類では確認できない詠草も多数収録されている。加えて、禁裏と西国大名の関係性を考えるうえでも貴重な資料である。本年度は、『新拾葉集』を翻刻し、載録歌人についてまとめた。また、他歌書との重複歌について検討を行った。この成果は、次年度に発表予定である。
佐賀県立図書館では、鍋島家支藩の和歌資料について調査を行った。その成果として、従来注目されてこなかった近世後期の白石鍋島家の文芸活動のなかに堂上派の影響が認められること、鍋島直章を中心とした歌壇が形成されていたことなどを明らかにし、口頭発表を行った。
鹿児島大学附属図書館玉里文庫に蔵される島津久光編『歌集』のなかから、近世後期の薩摩における堂上歌人の影響について考察した。また、垂水歌壇関連資料から、近世後期における堂上歌人と垂水島津家との関わりについて検証し、口頭発表を行った。また、幕末明治期の薩摩歌壇資料に関する展示を志學館大学図書館にて行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね計画通りに、各所蔵機関の資料調査を行い、書誌情報や本文の確認など、必要なデータを蒐集・整理することができた。また、他の共同研究の調査にも参加する機会を得て、当初予定していなかった芸道関係資料から、近世薩摩の堂上との文化的交流の様相を把握することができた。
以上の理由により、本年度の研究はおおむね順調に進んだと判断できる。

今後の研究の推進方策

今後の推進方策について、当初予定していた内容から特に変更はない。本年度に確認することのできなかった資料群について調査を行い、その全貌を確認する。特に、垂水歌壇資料については、その多くが夙に翻刻紹介されているが、書入れや墨消しなどの問題も多く、改めて精査する必要がある。次年度に調査を実施し、書誌情報と本文データを整理する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初、和歌データベースの作成にアルバイト補助を依頼する予定で計上していたが、本年度はアルバイトの依頼を行わなかった。次年度は、外部の研究者に調査協力を依頼する予定でいる。また、日程の都合で本年度内に調査へ赴けず、次年度に見送ったものがあるほか、マイクロ資料等の紙焼きを入手できなかったものがあった。これらも次年度に調査等実施する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 小城鍋島文庫蔵書解題稿(三)2019

    • 著者名/発表者名
      中尾友香梨・白石良夫・大久保順子・土屋育子・沼尻利通・日高愛子
    • 雑誌名

      佐賀大学全学教育機構紀要

      巻: 7 ページ: 57-71

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 近世九州歌壇の一様相―薩摩と飛鳥井雅光2019

    • 著者名/発表者名
      日高愛子
    • 学会等名
      古典籍の保存・継承のための画像・テキストデータベースの構築と日本文化の歴史的研究 年度末研究集会
  • [学会発表] 佐賀県立図書館所蔵和歌資料にみる幕末佐賀歌壇―南里有隣、白石鍋島家の和歌活動―2019

    • 著者名/発表者名
      日高愛子
    • 学会等名
      第4回幕末佐賀歌壇研究会

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公開日: 2019-12-27  

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