研究課題
基盤研究(C)
北村季吟の写本京都地誌「菟芸泥赴」についての文献学的研究を実施した。京都大学附属図書館蔵本と国立公文書館内閣文庫蔵本(172-0145)のテクストが細かいレベルで類似しており、本書のより自筆本に近い本文推測にはこれら2本と、内閣文庫本(172-0150)・国会本の比較が有効であることがわかった。所蔵館の事情のため未調査となった無窮会神習文庫蔵本(3-1-2-5672)と合わせて、これら5写本により本書の翻刻を作成できることが明確になった。
日本近世文学、国語学史
17世紀末の京都地誌(京都案内記)「菟芸泥赴」の国内に所蔵されている写本について、古い形態を持つ写本と後世の写本を判別するための指標が確認された。また、1914-1917年に出版された「京都叢書」でおこなわれた「菟芸泥赴」の翻刻の不備を訂正し、より北村季吟の執筆した「菟芸泥赴」に近い本文の翻刻を実現するための資料の整備がおこなわれた。