17世紀から18世紀の京都において刊行された絵とことばで事物を図解した「絵入百科事典」的書物が果たした「知」の大衆化を明らかにした。第一に日本最初の絵入百科事典である『訓蒙図彙』について、出版の背景・典拠と近代まで続く影響を考察した。第二に人物の属性毎にデザインを分類した小袖雛形本『正徳ひな形』の翻刻・注釈を行い、京都における色や染織技法、意匠を具体的に検証し、また服飾と文学、出版文化と風俗の関係性といった文化的背景も明らかにした。第三に人物、仏像、女性風俗、武具、建築などの「訓蒙図彙もの」書物の翻刻や英訳、メタデータ作成を行い、「近世期絵入百科事典データベース」として公開した。
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