| 研究課題/領域番号 |
18K00309
|
|---|
| 研究機関 | 弘前大学 |
|---|
研究代表者 |
植木 久行 弘前大学, 人文社会科学部, 客員研究員 (20160153)
|
|---|
| 研究分担者 |
渡辺 麻里子 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (30431430)
荷見 守義 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (00333708)
武井 紀子 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (30736905)
川瀬 卓 白百合女子大学, 文学部, 准教授 (80634724)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
| キーワード | 稽古館の旧蔵書 / 津軽の知の体系 |
|---|
| 研究実績の概要 |
近世（江戸時代）、本州最北端の弘前（津軽）における知識・学問の状況を、弘前藩の藩校「稽古館」の旧蔵書を中心に広く調査・分析することによって解明する。この研究目的に沿って、第2年度も引き続いて、旧弘前藩校関連の古典籍を最も多く所蔵する東奥義塾高校所蔵の古典籍を集中的に調査した。調査の実施は5月以降、20回以上に及び、調査の対象は40点以上（冊数の多い大部の書を含み、研究協力者の担当もある）となり、東奥義塾に伝存する古典籍の諸相を考察し、学びの記録・知の証としての具体例を探求した。
弘前藩の藩校「稽古館」は寛政8年（1796）に創設され、武芸・医学のほか、経学・兵学・天文暦学・紀伝学・法律学・数学・書学などを教授したが、文化5年（1808）には規模を縮小・移転して学問所となり、教科も激減した。稽古館旧蔵本には「稽古館蔵」の朱印が捺されるが、その中には本年度の調査では『中庸章句大全』『七書講義』『淵鑑類函』『宋元資治通鑑』『大日本史』『礼儀類典』などの書に、「文化/乙丑」（文化2年〔1805〕）の方形小印（陰刻）が捺されている。これは藩校創設後、10年未満の初期に配架された図書であることを表し、総合大学としての藩校「稽古館」を図書の面から支えた書籍である。
本年度の古典籍調査の一端は、11月17日、弘前市観光館1階多目的ホールで開催された「2019年度旧弘前藩藩校稽古館資料調査報告会」の中で発表した。『東奥義塾高等学校所蔵 旧弘前藩古典籍調査集録』第6集（2020年3月）の中では40部の詳細な解題（カラーの書影付き、研究協力者の担当を含む）を発表した。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東奥義塾高校図書館に所蔵される、稽古館旧蔵書を中心とした40点以上の古典籍を調査・分析し、その特徴の一端を明らかにした。調査成果の一部は報告し、古典籍40部の詳細な解題（研究協力者の担当を含む）を発表した。このため、おおむね順調に進展していると判断される。
|
| 今後の研究の推進方策 |
第3年度は引き続いて、東奥義塾高校図書館にまとまった形で所蔵される、稽古館旧蔵書を中心とした古典籍の調査と分析を継続する。そして資料調査の成果を例年のごとく報告しつつ、重要な古典籍の解題を作成して、その特徴や存在意義を明らかにし、知の体系を総合的に検討する。またウェブサイト（弘前藩藩校資料調査研究会）を更新して活動状況を広く周知する。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
『旧弘前藩古典籍調査集録』第6集を刊行するためには、科研費だけでは資金不足であったため、関連するテーマで外部資金を別途に獲得して刊行資金の大半にあてた。このため、結果的に研究助成金に未使用の金額が生じた。その額は、翌年度請求した助成金と合わせて、研究課題の遂行と成果発表のために適切に使用し、研究実績の向上に努めたい。
|
