研究課題/領域番号 |
18K00311
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
清登 典子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60177954)
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研究分担者 |
深沢 了子 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (30350581)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 与謝蕪村 / 夜半亭蕪村句集 / データベース |
研究実績の概要 |
昨年度決定した各メンバーの担当事項に基づき、各自が『夜半亭蕪村句集』のデータベース構築のための調査検討を進めた。その結果、昨年度達成すべき目標としていた『夜半亭蕪村句集』春部全468句についてはデータとする①から⑨までの九項目の調査をほぼ終えることができた。ただし、⑦蕪村関係俳書への入集状況調査のうちの同時代俳書の調査検討、⑧作句年次の推定、⑨入集俳書における句形変化、という三点については、調査検討が不十分な点があるために、さらに今後も調査検討を続けていき新しい調査結果が入り次第データに補足していくこととなった。 今年度の目標としていた夏部全465句についてもメンバー全員で調査検討を進め、データとする九項目のすべてについて一応の調査を行うことができた。しかし、春部の発句の場合と同様に⑦同時代俳書における入集状況、⑧作句年次推定、⑨入集俳書ごとの句形変化、の三点については不十分な点があるため、今後も調査検討を継続していくこととなった。 研究代表者(清登典子)、研究分担者(深澤了子)、研究協力者(金田房子・牧藍子・真島望)の5名全員による研究会を開催し、データ構築の進捗状況や問題点について話し合いを重ねた結果、データ九項目の配列として、③『夜半亭蕪村句集』の四季別入集順番号を冒頭に持ってきたほうがよいという結論に至り、データの配列の変更を行った。 研究代表者が、『夜半亭蕪村句集』の出現によって、『蕪村自筆句帳』の欠落箇所の発句配列を推定することができるのではないかとの考えに立って検討した結果を研究論文として発表したほか、研究分担者、研究協力者も蕪村俳諧および蕪村につながる俳諧文学にかかわる研究の成果を発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、データ項目の選定に時間を取られ、目標とした春部の調査検討に遅れが生じたが、本年度は昨年度決定の選定項目に従って調査検討を進めた結果、目標としていた夏部の調査検討を、一部に不十分な点もあるものの、ほぼ終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度、2019年度の二年間の『夜半亭蕪村句集』のデータ項目についての調査検討を通じて、データの集積、補足、点検における問題点と改善策とが明らかとなった。 一つは短期雇者によるデータ入力に誤りが多く発生し、入力後の点検、修正作業に多くの時間と手間とが取られたことで、この点については研究代表者と研究分担者とが中心となってメンバー全員が入力、補足、点検作業を行ってデータ集積作業を進めている。 二つ目は、入力データとして、補足前のもの、補足後のもの、補足後に修正を加えたものなど同じ「春部」「夏部」のデータであっても複数のデータが存在するようになり、どれが最新版かわからなくなるなどの混乱が生じたことである。これについてはデータの名称の冒頭に「作成年月日」と「入力者名」を付けて保存し、そのデータにさらに補足、修正した場合には、先の名称の前に「修正年月日」「入力者氏名」を加えていくこととした。これにより、元のデータに誰がいつ補足や修正を加えたものかが、はっきりすることとなる。 こうした修正点を生かしながら、今後、『夜半亭蕪村句集』の「秋部」「冬部」の全発句についてデータ入力を進めていく。 また、『夜半亭蕪村句集』の秋部全450句、冬部全520句についてのデータ項目についての調査検討を精力的に行っていき、研究成果のまとめに入りたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
最大の理由は、当初予定していたデータ入力等の業務を行ってもらう短期雇用者のための人件費が予定を大幅に下回ったことにある。データ入力業務にあたっては、研究代表者または研究分担者の所属する大学の大学院生である必要があるが、現在、研究代表者のもとには指導学生がおらず、2018年度に短期雇用した院生は、専門が異なっていためにデータ入力がうまく行えず、その訂正作業に却って時間と労力とを割かれる結果となった。そのため2019年度においては、ほとんどの入力作業を、研究代表者、研究分担者、研究協力者などの科研メンバー自身で行うこととなり、次年度使用額が生じる結果となった。 次年度に回された金額は、2020年度に予定している本科研の研究成果として配布予定のCD-ROM版データベースのほかに、紙媒体の報告書(データベース一覧)の配布が必要と考えるようになり、その印刷、製本代として使用したいと考える。古くからの俳諧研究者の中にはコンピュータを使用しない者も多く存在しており、紙媒体でのデータの公表の必要性が高いと考えられる。多くの研究者にとって、より使用しやすい二つの媒体での研究成果の公表を目指したい。
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