最終年度にあたる2021(令和3)年度は、これまで継続して取り組んできた新出『夜半亭蕪村句集』収載全発句1902句についての、蕪村一派句会記録類および関係句集類との対応関係についての調査結果データを取りまとめ、広く公開することを目指して活動した。 まず、調査結果のデータ集積については、昨年度までに作業を終えていた春部、夏部、秋部につづき、冬部についてのデータ蓄積を行い完成させるとともに、2020(令和2)年12月に刊行された『新天理図書館善本叢書36 蕪村集二』収載の『夜半亭蕪村句集』原本の影印と照らし合わせることで句形や前書き、内容の点検、修正と確認を行い、四季部別の表記等の統一も行った。 また、これまでの調査検討から『夜半亭蕪村句集』が蕪村晩年の自選句集『蕪村自筆句帳』の選句元資料であった可能性の極めて高いことを明らかにすることができた。そのことに基づき研究代表者(清登典子)は、すでに『蕪村自筆句帳』春部および『蕪村自筆句帳』夏部の欠落箇所復元の可能性を追求して成果を示してきたが、2021年度は、さらに秋部欠落箇所と冬部欠落箇所との復元に取り組み、その成果を研究論文「『蕪村自筆句帳』秋部欠落箇所復元の試み」として発表するとともに、第72回俳文学会全国大会(2021年10月24日)において「『蕪村自筆句帳』欠落箇所復元の試みー冬部欠落箇所の復元を中心に-」とする口頭発表を行った。 この学会発表時に研究成果としてのデータ集積一覧を紙媒体で配布する予定であったが、オンライン開催となったため研究成果公開のホームページを立ち上げて公開(https://buson-kaken-seska.jimdofree.com)した。 さらに、年度末の2022年3月15日に、紙媒体によるデータ集積集「『夜半亭蕪村句集』発句対応一覧表」を初句索引とともに完成させ刊行(非売品)した。
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