研究課題/領域番号 |
18K00312
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
BJOERK TOVE 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (90747974)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 歌舞伎 / 日記研究 / 近世期 / 芝居茶屋 / 飲食 / 宣伝 / 商業圏 / 観客 |
研究実績の概要 |
現在「近世期芝居茶屋研究」として①芝居茶屋の来歴と進展、②歌舞伎劇場と芝居茶屋の関係、③歌舞伎劇場における客層の変化と芝居茶屋の宣伝戦略、④歌舞 伎劇場の宣伝戦略の4点を明確にするため、2019年度は、二代目市川團十郎の日記諸本と『宴遊日記別録』、『宴遊日記』の分析を引き続き進めたことに加えて、『月雪花寝物語』らのデータ収集を始めた。これらをもとに芝居茶屋と仕出屋の関係を明確にし、歌舞伎劇場を中心とする「商業圏」形成を元に、近世期歌舞伎劇場の「公共圏」としての機能について解明し、これまでの成果を国内外の学会や座談会で発表した。 これらの日記には芝居茶屋と大名屋敷の親密な関係が現れたので、これらの記述をもとに芝居茶屋の営業戦略を分析していく。またこれらの日記から確認した芝居茶屋が提供した飲食のメニューを、日本橋人形町三丁目遺跡に発見された植物や骨類と比較し、日記の信憑性を確かめた。 以上のように、2019年度の研究実績として、対象文書(日記)の分析を進め、近世期の芝居茶屋についての新たな知見を得ることができ、その一部を発表することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 今年度は近世前期からおもに歌舞伎劇場の関連業者の宣伝戦略、そして飲食について、日記等から記録を抜粋し、時代順に分析する準備に取り掛かった。ほぼ順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度、「近世期芝居茶屋研究」を進めにあたり、引き続き『宴遊日記』の分析を進める。大名屋敷の女中は、余興として屋敷内で歌舞伎を上演していたが、演目の稽古は部分的に芝居茶屋で行われていた。また、大名屋敷と芝居茶屋は贈答品の授受を行っていた。これら大名らと芝居茶屋との交流を分析し、芝居茶屋の営業戦略を明確にしていく。 また、『弘前藩庁日記』、『府内藩記録』などにおける芝居茶屋、そして町人組と歌舞伎等興行の関係についての記述を抽出し、分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
出張はキャンセルされてしまった。2020年度はCOVID19の影響で多くの国内外の学会などがキャンセルされましたので、現在、2020年度中、旅費ではなく、論文の検閲費とデータ収集バイト費として使う予定だ。
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