研究課題/領域番号 |
18K00312
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
BJOERK TOVE 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (90747974)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 二代目市川團十郎 / 柳沢信鴻 / 芝居茶屋 / 営業 / 大名屋敷 / 歌舞伎劇場 |
研究実績の概要 |
2021年度、本課題の研究実績は①論文「二代目市川團十郎の日記詳解ー第五回」二代目市川團十郎の享保19(1734)年5月5日から10日の日記記録に注釈と解説を付け、紀要「埼玉大学教養学部」57(2)に載せた。本記録から、市村座と葺屋町の芝居茶屋の日常的運営を読み解くことは可能と判断し、次の段階の研究の基本データとして保管した。②研究発表「芝居茶屋の営業戦略ー柳沢信鴻よ松屋・永楽屋・猿屋ら江戸の芝居茶屋」2021年12月11日、歌舞伎学会で大和郡から山半藩主柳沢信鴻の日記『宴遊日記』の安永2(1773)年から安永(1775)年の記録から、堺町の芝居茶屋松屋、同町の水茶屋永楽屋と木挽町の芝居茶屋猿屋の関係者は定期的に信鴻の屋敷を訪れ、興行や役者の宣伝をし、季節の挨拶や大名屋敷での歌舞伎公演の際に役に立つ人材に派遣に携わっていたことを明らかにした。③座談会「歌舞伎役者と観客の日記からSNS」参加:歌舞伎学会主催座談会で二代目市川團十郎と柳沢信鴻の日記から読み解ける情報は、歌舞伎の歴史観のための意味について他研究者5人と議論した。④『観客と共創する芸術II』リベラル・アーツ叢書14、編者を務め、研究論文「『信竹取物語』ー観客の自由と演者の選択における共創の可能性」を掲載し、日本の伝統的な演劇空間でのコミュニケーションの可能性を探る実験調査結果を発表した。2021年度、近世期の芝居茶屋研究は上記にような部分的に進んだが、未だ二代目團十郎の日記詳解を引き続き掲載し、また柳沢信鴻の安永5(1776)年から寛政初期までの日記記録を分析する必要がある。これらの分析によって、歌舞伎劇場、看板役者とパトロンの時間における変遷も明らかにすることを目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度、それなりの業績を出しましたが、コロナのせいで二年間続いた海外学会の不在によって、予定していた結果発表はまだできてなく、2022年度までに経費の使用期間を延期した。
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今後の研究の推進方策 |
①論文「二代目市川團十郎の日記詳解ー第6回」二代目市川團十郎の享保19(1734)年5月10日から29日の日記記録に注釈と解説を付け、紀要「埼玉大学教養学部」58(1)、②論文「二代目市川團十郎の日記詳解ー第7回」二代目市川団十郎の享保19(1734)年6月1日から15日の日記記録に注釈と解説を付け、紀要「埼玉大学教養学部」58(2)に載せる ③論文「芝居茶屋の営業戦略ー柳沢信鴻と松屋・永楽屋・猿屋ら江戸の芝居茶屋」(仮)を紀要「歌舞伎ー批評と研究」67に載せる。 ④国際学会International Federation for Theatre Researchパネル「Private and Public Performance Culture in East Asian Traditional Theatre」の一員として研究発表「Performing Privately: The Women of the Theatre Teahouses and Kabuki at Domain Estates」を行う。 ⑤研究論文「The Literacy of an Early Modern Kabuki Actor:Browsing the Library of Ichikawa Danjuro II」(査読)をJournal of the Society for Asian Humanitiesに掲載
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への参加は今年度不可能だったので、来年度、International Federation for Theater Researchに参加する予定だ。
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