研究実績の概要 |
2022年度、江戸の芝居茶屋の営業戦略を探るために、大和郡山藩藩主柳沢信鴻の日常が記された日記「宴遊日記」の安永期の記録を中心に分析し、「安永期江戸の芝居茶屋と水茶屋ー柳沢信鴻の日記から」(掲載誌名『歌舞伎ー研究と批評』67号)、および研究発表Performing Privately: The Women of the Theatre Teahouses and Kabuki at Domain Estates (International Federation for Theatre Research, University of Iceland (2022))として発表しました。さらに、本研究の延長線として見えてきた芝居茶屋の女性の営業のための重要な役割を探り、初代中村仲蔵の日記「雪月花寝物語」や「鶴秀日記」などを元に、芝居茶屋の女性と屋敷での歌舞伎踊りなどの稽古事を担当していたお狂言師の業績を探り、「歌舞伎と女ー初代中村仲蔵の母おしゅんの業績」(埼玉県立近代美術館と埼玉大学共催企画「ミュージアム・カレッジにて講演2022年12月3日、埼玉県立近代美術館)として発表した。総合的に、近世期の芝居茶屋が関わっていた商業圏は芝居町から大名屋敷まで及んでいたこと、またこの商業圏は身分を超えた文芸圏を支えていたことがわかった。
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