研究課題
基盤研究(C)
本研究は、歌舞伎役者や歌舞伎の常連客の日記を通して、近世期の芝居茶屋が歌舞伎劇場の運営や歌舞伎役者とパトロンとなる客の関係が成立するために不可欠存在だったことを具体的に検証し、芝居茶屋の営業戦略の実態や、特に芝居茶屋の女性のその中の役割を示した。これは、今までの歌舞伎研究であった男性中心の考え方に歌舞伎劇場をまつわる商業圏の働き方を理解するための新たな視点を与えた。
近世文学
近世期の芝居茶屋に焦点を当たることによって、歌舞伎にまつわる商業圏が当時の社会の社会階級を超える機能を持っていたことを示すことで、近世期における誰でも自由に参加できる文化的空間、いわゆる公共圏が成立した可能性を指摘した。これは近世期の歌舞伎の社会的な重要さを示すだけではなく、現在、芸能の社会的重要さを考えさせる材料としても役に立つだろう。