研究課題/領域番号 |
18K00316
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
飯田 祐子 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80278803)
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研究分担者 |
中谷 いずみ 二松學舍大學, 文学部, 准教授 (10366544)
笹尾 佳代 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (60567551)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | プロレタリア文学 / ジェンダー / セクシュアリティ / 1930年前後の左翼運動 / 女性労働者 |
研究実績の概要 |
2021年度は最終年度として、日本近代文学会2021春期大会にてパネル報告「プロレタリア文化運動とジェンダー」を行った(5月23日(日)、オンライン)。四つの報告で構成し、階級かジェンダーかという問いから、階級という論点がいかにジェンダー化していたのかという問いへと移行し、運動の中心と周縁、内部と外部を構成するナラティブにおいて、ジェンダーが強く機能してきたことを明らかにした。加えて、研究会を四回開催した(第10回:2021年5月2日、第11回:7月24日、第12回:10月17日、第13回:2022年2月14日、いずれもオンライン)。 全期間を通して、本研究では、三つの観点から1930年前後の左翼運動におけるジェンダーとセクシュアリティについて検討した。第一の観点は、運動の主体形成におけるジェンダーである。この点については、女性労働者を中心に、ジェンダーと階級、また民族や国家に関わる力学が重なりインターセクショナルに、闘争主体が形成されていることを明らかにした。第二は、運動の組織生成における階層性とジェンダー化の関係である。「ハウスキーパー」や「救援」について具体的に検討し、闘争の前衛と後衛の領域の設定において後者に女性や家族が配置されていることについて検討し、その評価の低さを指摘するとともに、再検討の必要性を指摘した。、第三には、運動のナラティブにおけるジェンダーとセクシュアリティのナラティブの混淆について検討し、愛情やセクシュアリティが、運動において矛盾を発生させる要素としてとらえられる一方、その力学が階級の力学を語る際に比喩的に機能することを明らかにした。以上の成果は、英語圏の研究者による論文3編を含む11編の論文によって構成する共著『プロレタリア文学とジェンダー――階級・ナラティブ・インターセクショナリティ』(青弓社、2022年刊行予定)として刊行する。
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