現在では、関西(大阪・京都)対関東(東京)という図式で、様々なことが対比的に語られることが少なくない。しかし、東京に本社のある出版会社で作られた本と、大阪や京都で作られた本が、この東西比較の対象にとりあげられることはほとんどない。しかし、商業出版がはじまり盛んになっていった17世紀前半においては、出版について、はっきりとした東西による違いが認められた。出版の先進地である京都の出版にたいして、新興都市江戸の出版がどのような個性を出し「江戸」らしさを主張しようとしたのかをさぐることは、現在の東西比較にも通じる興味深い問題である。
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