本研究課題「中国演劇・講唱文学資料総合データベースの構築と新しい中国芸能史研究の試み」は、これまで別個に断片的にネット空間に存在する中国の演劇、 講唱文学に関する映像・写真・音楽・脚本のテキストデータという4種類の情報を統合するデータベースのプラットフォームを設計し、中国や日本国内で調査・ 資料収集を進めてデータを拡充しデータベースとして公開することを主たる目的としている。 最終年度にあたる本年度は、 1)貴州安順地戯『唖巴告状』、『快嘴李翠蓮』、『後八仙図』、『三元記』、『説唱本三国』、『姜子牙下崑崙』、『薛仁貴征東』、『薛丁山征西』についてスキャナを活用した画像データの作成整理、2)河北承徳皮影戯『乾坤剣』、『五鋒会』、『平西』などについて画像データの作成整理、3)江蘇如皋僮子戯『魏九郎替父請神』、『珍珠塔』の文字検索用テキストデータの作成、『劉金定三下南唐上下集』、『三逼記』、『薛丁山征西』について画像データの作成整理、4)金沢大学で購入した中国伝統演劇・芸能のDVD等の書誌情報を追加更新し、中国伝統演劇映像資料データベースのプラットフォームを全面的に改装、 以上の4項目を実施し、2018年度から進めてきた江蘇蘇州の弾詞・宝巻、浙江の紹興文戯、貴州安順地戯、河北承徳皮影戯、江蘇如皋僮子戯などの画像データ、文字データ、動画データを中心とする個別のデータベースを統合する金沢大学中国俗文学資料総合データベースhttps://www.kanazawachineselit.com/を一部メンテナンス中の部分もあるが、当初の計画通り一般公開することができた。 このデータベースをもとに、「データベースを活用した中国伝統演劇・芸能研究の可能性」(仮)と題する論考を2022年度の早い時期に同データベース上で利用の手引きとして公開する予定である。
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