本年度は、研究課題「台南文学の研究‐日本統治期の中国語文学を中心に」について、以下の実績をあげることができた。 (1)研究成果の公表:本年度は、1回の口頭発表を行い、1冊の共著書籍を刊行した。口頭発表については、「帝国の片隅で‐植民地台湾における国民動員と文学」と題する発表を、昭和文学会第67回研究集会・特集「国民再編の装置としての〈祭典〉」(昭和文学会、オンライン開催)において行った。また、台湾の民主化に関する共著書籍、林初梅・黄英哲編『民主化に挑んだ台湾』(風媒社、2021年3月)を刊行し、論文「台南の郷土研究における戦前と戦後‐日本統治期から国民党統治期、さらに本土化・民主化の時代へ」を掲載した。いずれも研究課題にもとづく研究で、成果を順調に公表できた。ことに後者は日本統治期から戦後の国民統治期へと、台南文学研究の射程を広げることができた点で意味があったと考える。 (2)資料・書籍の購入と分析:台湾・台湾文学・中国文学・植民地・日本文学・外国文学・比較文学と関わる資料や研究書を購入した。これらの資料や先行研究の分析を進めた。 (3)資料の調査・収集と分析:例年行ってきた、台南の国立成功大学図書館や台南市立図書館における関係資料の調査・収集は、新型コロナウィルス流行により見合わせざるをえず、また国内での出張を伴う調査も実施できなかったが、図書館等を通じた資料の収集を継続し、必要な資料を最低限集めることができた。
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