研究実績の概要 |
本年度の主な成果は、国際学会にて2回、国内学会にて1回の研究発表を行ったことであった。まず、6月にニューヨークで開催された第12回国際メルヴィル学会(Melville's Origins)において、"'Something Healing': Domesticity and Fatherhood in 'Billy Budd'"と題した発表をした。次に、7月から8月にかけてマカオで開催された第22回国際比較文学会において、"Imagining the Pacific: Moby-Dick and the 'Impenetrable Japans'"と題した発表を行った。また、9月に東京で開催された第7回日本メルヴィル学会年次大会において、「太平洋を想像するー『白鯨』における島と漂流」と題した発表を行った。また、ピッツフィールドのメルヴィルの家や図書館、カリフォルニア大学リヴァーサイド校でも資料収集した。 また、名古屋大学英文学会第60回大会記念出版企画『シェイクスピアが騙す』(仮題)への寄稿が決まった。当該研究書は、近代初期英国の基層文化まで浸潤した「騙し」に、シェイクピアの作品とその周辺に分析の焦点を合わせて、歴史的視座から解剖学的な光を投げかけることを目的とする。寄稿する論文は、「「エンカンターダス」におけるサバルタンの系譜―スペンサー、シェイクスピアからメルヴィルへ」(仮題)と題し、『テンペスト』 (The Tempest, 1611) のシコラックスから「エンカンターダス、あるいは魔法にかけられた島々」( “The Encantadas, or Enchanted Isles,” 1854) のウニーヤに続く、サバルタンの環大西洋的系譜を探求する試みである。2020年度中に原稿を提出し、2021年度に出版される見込みである。
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