研究課題/領域番号 |
18K00368
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
斎木 郁乃 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90294355)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ハーマン・メルヴィル / トランスナショナリズム |
研究実績の概要 |
2022年6月にパリで開催された国際メルヴィル学会に向けて、メルヴィルの『エンカンターダス』の第8スケッチと桐野夏生の『東京島』で描かれるサバルタン的女性のセクシュアリティと環境との関係性を比較文学的に考察した英語論文、"A Woman on a Deserted Island: Sexuality and Environmental Energies in “The Encantadas” and Tokyo Island"を執筆し、6月29日に研究発表を行った。(新型コロナウィルス感染拡大により渡航は叶わず、ハイブリッド方式でオンラインにて発表を行った。) 寄稿が決まっている名古屋大学英文学会第60回大会記念出版企画『シェイクスピアが騙す』(仮題)は、近代初期英国の基層文化まで浸潤した「騙し」に、シェイクピアの作品とその周辺に分析の焦点を合わせて、歴史的視座から解剖学的な光を投げかけることを目的とする研究書であるが、2021年9月11日に開催された名古屋大学英文学会第59回大会にて発表済みの、「「エンカンターダス」の騙り」を元に、寄稿論文に改稿を重ね、現在、キルケーから『妖精女王』の誘惑する乙女、『テンペスト』のシコラックスを経て『エンカンターダス』のウニーヤに至るサバルタンの系譜の観点から抜本的に書き換える作業を続行中である。 新たに、牧野有通監修、宇野雅章・貞廣真紀との共訳による、ハーマン・メルヴィルの戦争詩集(Battle-Pieces and Aspects of the War)のプロジェクトが始まり、分担部分の翻訳を始めるとともに、南北戦争並びに詩人としてのメルヴィルを論じた書籍・論文を収集し、読み進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大等により、研究以外の大学の業務がかなり増大し、私的事情も加わって、研究活動に費やすことができる時間が減ったことと、海外渡航ができないため、オンラインでの資料収集に頼らざるを得なくなったため。
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今後の研究の推進方策 |
名古屋大学英文学会第60回大会記念出版企画『シェイクスピアが騙す』(仮題)に投稿予定の論文の最終稿を7月末までに完成させる。また、メルヴィルの『戦争詩集』の翻訳は、分担部分の試訳を8月末までに仕上げ、その後12月末までに注も含めた完成稿を目指す。2023年8月から9月の間にアメリカに渡航して資料収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大により、国内外の学会が延期またはオンライン開催となり、また海外における資料収集もできなかったため、計画通りに研究を進めることに困難が生じたため。次年度は夏にアメリカで資料収集をする予定である。
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