研究実績の概要 |
1.国内で収集可能な資料を読み込んだ。その結果、女性同士だけでなく、禁じられた関係の中で親密さが共有されるモチーフが散見された。たとえば以下のとおりである。(1)ヘテロセクシュアルな女性同士のあいだで、幼少期の身体的、感覚的な快楽、親密さが共有される(Jennifer Nansubuga Makumbi, A Girl is a Body of Water, 2020, ウガンダ)(2)レズビアンとトランス・ホモセクシュアル男性のあいだで、性的欲望以前の親密さが共有される(Akwaeke Emeze, The Death of Vivek Oji, 2020, ナイジェリア)(3)姉弟のあいだで、性的欲望以前の親密さが共有される(Sulaiman Addonia, Silence is My Mother Tongue, 2018,エリトリアとエチオピア)(4)母と息子代わりの男性のあいだで、欲望と親密さが共有される(Abubakar Adam Ibrahim, Season of Crimson Blossoms, 2016 ナイジェリア) 2.一方で、親密な関係が、上位の誰かにコントロールされているという感覚も散見された。(1)主人公、夫、夫の恋人の三角関係は、夫の母親にコントロールされていたとわかる( Peace Adzo Medie, His Only Wife, 2020, ガーナ)(2)主人公、夫、夫の弟の三角関係は、夫にコントロールされていたとわかる(Ayobami Adebayo, Stay with Me, 2017 ナイジェリア) 3.親密さが関係の中で重要視されており、それが肯定的にも否定的にも、パワーの源泉となっているのは明らかである。そこにどのようなアフリカ的な特徴があるのか、また、ここ数年の表象の特徴はどこにあるのかは、明らかでない。
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