本研究では、アフリカの性の政治学を整理し、文学での性表象を明らかにした。 アフリカでは性をめぐり文化戦争が起きている。保守派は同性愛がアフリカの伝統に反すると主張する一方、欧米政府は性の人権尊重をアフリカに迫る。しかしアフリカでは多様な性が実践されてきたし、同性愛嫌悪は欧米の宗教保守の影響も大きい。一方でアフリカでは、性が命を生む結びつきとして聖化されてもいる。アフリカで性の多様性を尊重する活動をするには、宗教文化や社会運動の歴史に根ざす必要がある。一方、アフリカ文学では2010年代に多様な性が描かれるようになった。欧米のアイデンティティの政治に合致しない流動的な性が表象されている。
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