研究課題/領域番号 |
18K00374
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小野 章 広島大学, 教育学研究科, 教授 (20283228)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 英語文学 / 英語教育 / リトールド版 / 翻訳 |
研究実績の概要 |
本研究における仮説と,同仮説を検証するためのリサーチ・クエスチョンは次の通り。仮説:文学テクストの原文とそのリトールド版を比較しながら読むことで、英語学習者は意味を理解しながら言語形式にも着目する。リサーチ・クエスチョン:文学作品のリトールド版は、その原文の言語形式の気付きにどれほど寄与するのか。このリサーチ・クエスチョンに取り組むために本年度では次のふたつの研究を行った。 (1)原文(O.ヘンリーの短編After Twenty Years)とそのリトールド版(中学校英語教科書に掲載)の比較を,日本人大学生にしてもらった。結果,冠詞の違い(例:原文では不定冠詞なのに,リトールド版では定冠詞),固有名詞と代名詞の使い分けに関する違い,語彙上の違い等への気づきが見られた。残念ながらこの(1)の研究成果を30年度中にまとめることは出来なかったが,31年度中には紙媒体での研究発表を考えている。(2)原文の和訳もひとつのリトールド版とみなすことが出来るとの考えから,Lorenz Hartが書いた詩"Falling in Love with Love"の原文とその和訳の比較も日本人大学生にしてもらった。結果,語彙の多義性(例:loveの意味),時制の使い分け(例:現在形と過去形の併用),比喩表現等への気づきが見られた。この(2)の研究成果は,日本通訳翻訳学会の「TILT研究プロジェクト」第5回会合(平成30年12月23日広島大学東広島キャンパス)において口頭で発表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度にあたる平成30年度には,(1)研究対象となるテクストの選定と(2)実験を行うことを計画していた。(1)(2)ともおおむね順調に進展したと言える。「おおむね」としたのは,「研究実績の概要」に書いた通り,研究成果の発表が口頭発表1件のみであったからである。紙媒体による研究発表を少なくとも1回は行うべきだった。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」で触れたふたつの研究の(1)と(2)のそれぞれに関し,紙媒体(もしくは,紙媒体による研究発表の場をもたない学会の場合は電子媒体)による研究発表を行う予定である(令和元年度)。また,研究最終年度にあたる令和2年度には,中等教育等で使用可能な教材を開発する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外(イギリス)出張が30年度~31年度にまたがったため。
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