研究課題/領域番号 |
18K00374
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
小野 章 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (20283228)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語文学 / 英語教育 / 原文 / リトールド版 / 気づき |
研究実績の概要 |
本研究における仮説と,同仮説を検証するためのリサーチ・クエスチョンは次の通り。仮説:文学テクストの原文とそのリトールド版を比較しながら読むことで、英語学習者は意味を理解しながら言語形式にも着目する。リサーチ・クエスチョン:文学作品のリトールド版は、その原文の言語形式の気付きにどれほど寄与するのか。このリサーチ・クエスチョンに取り組むために本年度では日本人大学生約30名を対象に次の実験を行った。 (A)英国作家Robert Louis Stevensonが1886年に出版したDr. Jekyll and Mr. Hyde(『ジキル博士とハイド氏』)の原文の冒頭と,(B)同個所を平易な英語に書き換えたリトールド版(ペンギンリーダーズ版)とを読み比べてもらった上で,(1)辞書を参照した個所,(2)分からない思った個所,(3)面白いと思った個所についてそれぞれ自由に記述してもらった。結果,原文のみの読解では英語の表面的な意味理解に留まっていたのに対し,リトールド版と比較することで,原文の表面的な意味の裏に隠された真意(=行間の意味)をも理解するようになった。また,作家がある意味を伝えるために,様々な表現を駆使していることへの気づきも促された。残念ながら,研究成果を令和2年度中にまとめることは出来なかったが,令和3年度中には紙媒体での研究発表を考えている。 また,本研究は英語教育における文学の有用性を探るものの一つであるが,文学と第二言語教育との関連をテーマとする諸研究を網羅的,かつ詳細に論じた研究書(Geoff Hall著,Literature in Language Education (2nd ed.) Palgrave Macmillan, 2015)の書評も行った。同書評は,『英語英文學研究』第65巻(令和3年3月発行)に収められている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
3年目にあたる令和2年度には,(1)実験を行うことと,(2)(1)の結果を論文にまとめ学会等で発表することを計画していた。(1)は計画通り実施されたものの,(2)については,「研究実績の概要」で書いた通り,実現を見なかった。よって,「やや遅れている」との判断である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度~令和2年度に行った実験について,紙媒体(もしくは,紙媒体による研究発表の場をもたない学会の場合は電子媒体)による研究発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響により,出席できなかった学会がいくつかあり,次年度に使用する額が生じてしまった。学会出席,発表が可能になれば,予算を消化するつもりである。また,教材の開発のために,書籍費等もかかる予定である。
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