研究課題/領域番号 |
18K00376
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
山城 新 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (80363654)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 海の文学 / 環境文学 |
研究実績の概要 |
今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、最終的な研究成果取りまとめの為の最終的な海外調査を断念せざるを得なかった。代わりとして、これまで収集した資料を整理、解題し、論文執筆の準備をするとともに、今後の研究の新たな方向性の検討を行った。まず、米国Peabody Essex Museum (PEM)で収集した航海日誌について、Mason Familyに関する記録、商船Cohotaの航海日誌、商船Massachusettsの航海日誌、貨物船Yumchiの航海日誌に記録された19世紀後半の貨物物資の種類や交易範囲をデータ整理した。中国を中心として展開されていた当時の海域を介したグローバル物流経済の中で、モノの移動とヒトの移動がどのように連動し、展開していったのかを把握しようと試みた。航海日誌の解題は極めて時間を要する文献学的アプローチとなるため、まだ米国と中国間に限った19世紀後半の物流の全体把握には時間を要するが、いくつか今後の研究課題の展開に資する発見もあった。例えば、商船Cohota、商船Loo Choo、商船Soolooが琉球や日本を経由しつつ当時のグローバル経済にも関わっていく様は、アメリカ産業革命からモダニズムに変化する過程において、あまりこれまでの研究でも言及されていない文化史の側面を表しているように思えた。クリッパー船や貨物船の発達がとSailing Shipカードの流通と連動していたことを過年度の研究では確認したが、同様に当時のアメリカ文学の表現形式の変化が、そのように19世紀後半の商船の移動と関連していたのかを今後は明らかにしたいと計画している。コロナ禍によって再度研究期間を延長せざるを得なかったが、この機会に収集した資料の解題と整理を更に進める計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の拡大による研究計画変更等に伴い補助事業期間を再度延長することになった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍によって再度研究期間を延長せざるを得なかったが、この機会に収集した資料の解題と整理を更に進める計画である。海外調査出張に出られるようであれば、これまでに見えてきた研究課題の方向性を踏まえて最終的な資料確認をし、19世紀後半の海域交易と文化史の関連性についてトピックを絞った上で、研究を進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大により、最終的な資料確認のための調査出張が叶わなかった。現在収集済みの資料の解題と整理を続けており、次年度にも同様の作業を続ける予定である。新型コロナウイルス感染症の状況をみながら、最終的な調査出張が可能であれば、残額を執行予定である。出張が難しい状況であれば、最終成果取りまとめの為の資料購入(海外図書館や博物館からの資料の購入等)に充てる予定である。
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