1990年代以降の英語圏における女性向けポピュラー・フィクションとフェミニズムとの関係を考察する本研究において、両者の関係を1960,70年代の第二波フェミニズム期にも遡って概観することは、この問題を体系的に捉えるうえで有益と考えられる。 そこで、前年度までに終えることができなかったこの問題に取り組んだ。考察の対象としたのは、"consciousness-raising novel (CR novel)"と呼ばれるジャンル、また一部研究者に"mad housewife novel/fiction"、"angry young women"と称されてきたジャンルである。これについては、本研究の背景をなす重要な部分として、今後も考察を推し進めていきたい。
並行して、本研究の中心となる1990年代以降のポピュラー・フィクションについても、とくに女性身体の外見の表象に焦点を当て、この問題をめぐるフェミニズムの議論とも関連づけながら、口頭による発表を行った。 女性の身体の外見をめぐる問題は、「フェミニズムにとり鍵となる一連の問題や議論であり続けてきた」ともされ、それは1990年代以降の「ポストフェミニズム」においても例外ではない。これについては、新たな研究主題として、今後取り組んでいきたいと考える。
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