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2021 年度 実施状況報告書

アメリカン・ルネサンス期の女性の戦略的言説の分析

研究課題

研究課題/領域番号 18K00385
研究機関大正大学

研究代表者

伊藤 淑子  大正大学, 文学部, 教授 (50223201)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードアメリカン・ルネサンス / フェミニズム / マーガレット・フラー / 19世紀アメリカ文学 / 女性の言説
研究実績の概要

本研究は、アメリカ文学がナショナルな文学ジャンルとしての地盤を確立するアメリカン・ルネサンス期に、女性の文学的自己表象の言論がどのように形成されたのかを、当時の政治的事情、社会的現実、国際的状況を踏まえたうえで多角的に探ることと、現在の視点から、1970年代以降に構築された批評理論としてのフェミニズムを応用し、文学研究と社会改革の連携の可能性を探求することを目的としている。超絶主義の文芸活動、黒人奴隷制廃止運動の言論、女性参政権運動などに携わった女性たちの言論、女性作家による文学作品、男性主流作家が描く女性像を横断的に検証し、新聞、雑誌などのメディアにも目を配りながら、精神の自由を謳う超絶主義が盛んになった時代にあって、権利を制限され、規範的な性役割に束縛される女性たちが、どのように言論の「主体」となろうとしたか、いかなる自己の表象を獲得しえたかについて検証することを目指している。
研究の1年目の2018年度はアメリカン・ルネサンスに関する内外の基本文献の確認と書誌の整理を行い、2年目の2019年度はその成果をもとに学会での研究発表を行ったが、3年目の2020年度から、残念ながら失速した状況が続いている。海外での調査が制約されるなかで、2020年度と2021年度は本研究の中心であるマーガレット・フラーの伝記的情報をさらに収集し、分析するともに、アメリカン・ルネサンス期の女性作家の一次資料、二次資料を読みこんだ。編集と執筆を担当している論文集の発行は次年度にもちこされたが、編集過程において、アンテベラム期の公共圏と親密圏のかかわりについて編集担当者のあいだで活発な対話ができたことは大きな研究上の収穫になった。
研究期間の延長をし、2022年度中にはもちこしとなっている研究成果の公表を実現したいと考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、アメリカでの研究調査もあきらめざるをえず、研究を計画通りに進めることが困難であった。授業や学科学部運営などにも時間をとられ、研究に集中する時間を十分に確保することができなかった。

今後の研究の推進方策

2022年度は、本研究の研究成果の公表に注力したい。編集と執筆を担当するアメリカン・ルネサンス期の文学を中心に論考する論文集の出版と、マーガレット・フラーの伝記の翻訳の出版が中心になる。前者はすでに編集作業を終え、原稿を出版社に送っている。後者についても、翻訳を終え、本年度中の出版の目途はたっている。さらに、アメリカで対面開催された学会で発表予定であった原稿は、渡米がかなわず、発表することができていないが、さらに精査し、学会ジャーナルでの公表を目指したい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染拡大を受け、海外出張を取りやめたため、旅費の支出がなかった。2020年度2021年度に経験したことを活かし、研究者同士のネットワークにも頼りながら、オンラインでデータベースを活用するなど、この状況においても、研究をより成果のあるものにしていきたいと考えている。

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公開日: 2022-12-28  

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